
肩関節の治療をしていると、だいたい同じような可動域制限に悩まされるなぁと感じていませんか。
肩関節にはそんな悩まされながらも乗り越えなければならない壁が数多く存在します。そして私たちは、それらを1つ1つ理解しながら、治療技術を確立させて行かなくてはなりません。
今回はそんな乗り越えるべき壁を打開するためのヒントになる記事です。
難渋しやすい肩関節外旋制限!
肩関節治療に関わっているものであれば1度や2度、いやそれ以上の回数、肩関節の外旋制限を改善することに難渋したことがあるのではないでしょうか?
私も幾度となく外旋制限という壁に跳ね飛ばされて、帰りの車の中で自分の知識と技術の低さに落胆したことでしょうか。
でも実際、肩関節の外旋制限に対する治療が難渋しているケースって多くいると思うんです。それだけ外旋制限は複雑ということかもしれません。
単純に筋肉の柔軟性がなんていうことでもありませんし、そもそも肩関節構成体自体が複雑にできているので、外旋制限が複雑化してしまっていても仕方ないのかもしれません。
だから外旋制限を改善するためには、詳細な知識とある程度レベルの高い技術が必要になってしまうのでしょう。
肩関節の可動域制限の中でもトップクラスに難しい点だということは今でも私は感じています。なかなか難しい問題で、いまだに外旋制限についてどのようなことが必要なのかということを疑問視して、答えを探し求めているように感じます。
烏口上腕靭帯を知ることで気持ちは楽になる!
そんな中で外旋制限に対して、ちょっとした突破口はあります。烏口上腕靭帯についての知識を深めることです。
烏口上腕靭帯によって、悩んで悩んで、でも結果が出ずにというループから解き放たれることができる可能性は高いです。
以前も外旋に関しては記事を何度か書いていて、その中でも取り上げているのが烏口上腕靭帯です。このことは肩関節治療にはなくてはならない知識でしょう。
そこで今回はエコーの動画を見ることで、より烏口上腕靭帯についての知識を深めて、治療技術の役に立てていこうではないかというコンセプトでいこうかと思います。
以前の記事
烏口上腕靭帯は烏口突起の基部から大結節・小結節に向かって走行する靭帯です。
靭帯といっても疎性結合組織といって、血管・神経豊富な伸張性のある組織で、本来の靭帯のようなガッツリと動きを制動するというよりは、柔軟に関節の動きに対応して、その伸張限界で関節の運動方向をコントロールしているような役割になります。
だからこそ、炎症などによって靭帯が肥厚や癒着を起こすと伸張性を失い、強い可動域制限を引き起こすことになってしまうのです。
普段柔軟に関節運動に対応している組織というのは、ひとたび硬くなってしまうと頑固な可動域制限を招くということを知っておきましょう。
烏口上腕靭帯をエコーで観察してみよう!
では今回のメインとなる部分に行きましょう。
エコーで烏口上腕靭帯の動きを確認することで、烏口上腕靭帯の動き・制動・組織感のイメージを持つことができます。
では動画をご覧ください!
いかがだったでしょうか?
烏口上腕靭帯というのはそれほど分厚い組織ではなく、かなり薄い組織で外旋の動きによって、ピンと張ってきて少し伸張しながら関節の動きを制動していることがわかったと思います。
ただこれが肥厚・癒着することで伸張することなく、早期から関節運動に制動する働きをしてしまい、関節可動域制限を引き起こするのです。
この知識は烏口上腕靭帯に対する治療で非常に重要な知識になるので、しっかり覚えておくことが大切ですね。