軸索反射
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炎症って広がるの?

肩関節の勉強をしていると、インピンジメントが繰り返し起こることで、腱板の微細損傷が繰り返され、その時に起こる炎症が波及・広がることで肩関節周囲炎や肩関節拘縮を招くというものをよく見ます。

なんとなく理解したようなしてないような感じで、炎症が広がることで病態が進行していくとインプットしていきます。

ですが、本当に炎症は波及してどんどん広がっていくものなのでしょうか?

少し曖昧な部分だと思うので、しっかり理解して臨床につなげていきましょう。

今回は肩関節で考えていきますが、基本的にはどの関節でも同じ考えで理解できると思います。

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肩関節で炎症が広がる!

炎症が広がるということに対しては、わかるようなわからないような、曖昧な理解度な方は多くいらっしゃると思います。

では実際にそのようなことが起こるのでしょうか?

起こるとすればどうやって広がるのでしょうか?

今回その問題を解決してくれるものとして、烏口上腕靭帯に関する文献が役に立ちます。

烏口上腕靭帯及び周辺組織の神経分布について、靭帯表層を覆う滑液包,靭帯の烏口突起付着部に神経線維が多数存在し、SP,CGRP陽性神経線維も豊富に存在していた。また靭帯深部にも神経線維が比較的多く存在していた。これは同部が疼痛に対する感受性を有する組織であり、炎症の発現と進展にSP,CGRP陽性神経繊維が関与している可能性がある。

引用(一部編集):烏口上腕靭帯及び周辺組織の解剖学的特徴と神経分布

つまり、烏口上腕靭帯には神経繊維が多数存在しているため痛みの感受性が高いということだけではなく、炎症が起こりやすく・広がりやすいという特徴があります。

その原因として考えられるのが、同部に豊富に存在しているSPCGRP陽性神経線維ですよ、ということ。

このSPCGRP陽性神経線維が炎症の広がりを理解するためのポイントです。

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神経ペプチドの存在

SPCGRPは神経ペプチドと呼ばれるものの一種です。

これらは神経系の興奮性伝達物質であり、細胞体で合成され、軸索流で神経終末に運ばれ、貯蔵されています。

それぞれの特徴を見て見ましょう。

SP : Substance P , P物質

SPの作用として、血管透過性亢進作用と血管拡張作用があります。(SPがどのようにして、この作用をおこしているのか?というメカニズムは今回省きます。)

これらは侵害受容器が興奮することで、放出され神経性炎症を生じさせます。

CGRP : Calcitonin gene related peptide , カルシトニン遺伝子関連ペプチド

CGRPは脊髄後根神経節で産生されて、軸索流に乗って、終末に運ばれます。

SPよりも強い血管拡張作用がありますが、SPより遅れて発現するため、数時間も続く発赤を生じます。

CGRP自体は血管透過性亢進作用は持っていないのですが、他の物質の亢進作用を高めることを行います。

これらは侵害受容器が興奮することで、放出され神経性炎症を生じさせ、また疼痛増幅作用を有すると言われています。

また、神経ペプチドは小静脈での発痛物質の遊離や肥満細胞でのヒスタミン放出、線維芽細胞の増殖など様々な作用を持っています。

神経性炎症とは一体?

SPCGRPを説明しましたが、そこでこれらに共通して出てきた『神経性炎症』について説明します。

神経性炎症は、一次侵害受容ニューロンにおいて逆行性伝導が起こることによって、神経ペプチドが放出され炎症性症状を含めた様々な作用が起こることを言います。

侵害受容器から発生した活動電位の一部は、別の侵害受容器(のポリモーダル受容器)に活動電位を到達させてしまい、到達した活動電位によりポリモーダル受容器から神経ペプチドが放出されるのです。

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引用:ペインリハビリテーション

ペインリハビリテーション [ 松原貴子 ]

✳︎逆行性伝導:軸索反射、後根反射

この神経系の反射や神経ペプチドの放出によって、痛みや腫脹・発赤が周囲に広がっていくというのが、炎症の広がりなのではないかと思います。

まとめ

これらのことから、烏口肩峰アーチ間のインピンジメントによって腱板、特に棘上筋の前方部が刺激を受け、微細損傷を繰り返し、それに伴って炎症が起こる。

すると一次侵害受容ニューロンによって脊髄に伝えられるが、その中で軸索反射による逆行性伝導が起こり、別の侵害受容器を刺激。

すると、その受容器から神経ペプチドが放出され、血管透過性亢進作用や血管拡張作用、疼痛物質の放出などが起こり、周囲に腫脹や発赤、疼痛が起こる。

肩関節は何もしない限りなかなか良くならず、安静が取られるまではインピンジメントが改善されることなく、刺激を与え続けることになり、神経性炎症が起こり続ける。

そのうちに、痛みが強くなり安静を余儀なくされ、炎症が徐々に治ってくる。

しかし、神経ペプチドでは線維芽細胞の増殖も行われることや、炎症メディエーターによる組織破壊や線維芽細胞増殖などによって、組織の修復過程で烏口上腕靭帯の癒着や瘢痕化が起こる。

また、腱板は5層構造になっていて、烏口上腕靭帯が1.4層を構成しているため、その位置的にもこのような変化が起こりやすいのかもしれません。

腱板 5層

引用:腱板断裂を伴う肩関節拘縮の病態

結果、烏口上腕靭帯の瘢痕化・癒着のよる肩関節拘縮が完成し、可動域制限が著明となる。

ちなみに癒着についてはこちらをどうぞ!

炎症が広がるというのは、このように神経ペプチドが関わり神経性炎症が起こることが原因なのかな?と今の段階では考えています。

もちろんまだ他の可能性も考えているため、あくまで現時点ではという話です。

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