今回はみなさんもよくご存知のハムストリングスについての記事です。
学生時代から多くの場面でハムストリングスに触れることが多かったのではないでしょうか。
馴染みのある筋肉だけに、十分に理解しているはずですが、意外と知らないこともあると思います。
起始と停止もすらっと言えてしまうほど親しみがあるかもしれません。
ですが、起始部がどのような構造になって、他の組織とどのような層を形成しているのかを理解しているでしょうか。
起始と停止の間の構造が、どのようになっているかを正確に理解しているでしょうか。
馴染みのある筋肉だからこそ、わかったつもりになってしまっていないでしょうか。
今回は、ハムストリングスの起始部を正しい解剖知識で解説していきたいと思います。
ハムストリングスの起始・停止
ではハムストリングスにはどのような筋肉があって、どのような走行をしているのかをおさらいしましょう。
大腿二頭筋
大腿二頭筋は、別名で外側ハムストリングスと呼ばれることで知られています。
大腿後面の外側を長軸上に走行している筋肉です。この筋肉は、膝関節の屈曲作用があります。
長頭 : 坐骨結節後面
短頭 : 大腿骨粗面外側唇下方の1/2
停止
腓骨頭及び下腿筋膜
半腱様筋
半腱様筋は、内側ハムストリングスを形成する筋肉の1つです。
膝関節の屈曲作用があります。
また、鵞足を形成する筋肉の1つとしても知られています。
坐骨結節の内側面
停止
脛骨粗面の内側に付着し鵞足を形成
半膜様筋
半膜様筋は、半腱様筋と共に内側ハムストリングスを形成する筋肉です。
半腱様筋とは違い、膝関節周囲に付着する筋肉として知られています。
坐骨結節
停止
脛骨の内側顆、大腿骨の外側顆
これが一般的に解剖学の授業で習う起始・停止です。
しかし、この知識だけで、筋肉がどのように走行しているのか?というイメージを抱くことができますでしょうか?
臨床で用いるにも内容が不十分なように感じます。
さらに言えば、文字で簡単に説明され、イラストによって紹介されている、よく知られているハムストリングスの解剖知識は正 しいものなのでしょうか?
ここからは、私が知る限りでのハムストリングスの解剖を紹介します。
実際のハムストリングスは!?
まずそれぞれの筋肉の起始部に注目してみましょう。
ハムストリングスの筋肉の特徴として、いずれも坐骨結節から起こっています。
しかし、それぞれの筋肉が1つの束になって付着しているわけではありません
実際の解剖ではどのような付着部か確認します。
この図では青で示されている箇所が半膜様筋の起始部で、赤で示されている箇所が半腱様筋と大腿二頭筋の起始部となります。
その図をみてわかりますが、3筋あるはずが停止部で2箇所の記載になっています。
実は半腱様筋と大腿二頭筋はConjoint Tendon つまり共同した腱となって骨に付着しています。
ちなみに肩関節の烏口腕筋と上腕二頭筋短頭もConfoint Tendonを形成しています。
では、大腿二頭筋と半腱様筋の起始部付近の解剖を詳しく見てみましょう。
向かって左にある筋肉が見えているのが半腱様筋、右の半腱様筋に直接付着しているのが大腿二頭筋長頭です。
このように坐骨結節に付着する手前で、大腿二頭筋長頭腱が半腱様筋に付着し、その腱収束部となっています。
このように実際の解剖を見てみると、文字で覚え、イラストを信じてることで、本来の解剖知識とは違う知識を身につけてしまうのです。
今回は坐骨側ではどのようになっているのかを紹介しましたが、まだまだハムストリングスだけでも話したいことがあります。
ですが、まずは自分でも文献を読んで、何を感じるかを学んでほしいと思います。とはいえ、追々他の真実についても書いていきたいと思います。
こういった本当の解剖を理解し、どのように治療に落とし込めるかを考え、より効果を出せるように頑張っていきましょう!
参考文献
A. D. van der Made et al . The hamstring muscle complex : Knee Surg Sports Traumatol Arthrosc .
筋肉.guide : http://www.musculature.biz