
不動により起こる可動域制限
動作が行われずに、関節の不動化を強いられた時には、関節可動域制限が生じることが臨床では頻繁に経験することだと思います。
私は整形外科クリニックに勤務していますが、肩関節の術後のリハビリも行っていますので、術後の外転固定装具による肩関節の拘縮を今まで多数経験してきました。
しかし、これらの拘縮はどういったメカニズムによって引き起こされるのでしょうか?
今回紹介する文献は、そんな疑問を解消する手助けとなってくれるものです。
不動化したラット膝関節の関節包コラーゲン線維に対する持続的他動運動の影響 –コラーゲン線維間架橋の免疫組織科学的検討–
どんな文献?
今回紹介する文献は、関節の不動化の影響で起こるコラーゲン線維変化が、CPM(Comtinuous Passive Motion)を用いることでどのような影響があるか見ているものです。
実験はラットの膝関節をギプス固定によって不動化するのですが、ずっと固定し続ける軍と実験中にCPMを行っている群に分け、最終的に関節包のコラーゲン線維間の架橋形成に対する影響を免疫組織科学的に検討しています。
文献から読み解く!
結果として、不動群がCPM群に比べてコラーゲン線維間に架橋結合が多いことがわかり、関節包の伸張性低下がを示唆するものでした。
これはコラーゲン線維は、関節運動が起きないと架橋結合してしまい可動域制限へと発展していくということですので、ギプス固定をしていなくても、痛みにより関節運動が行えず、結果として不動化してしまうケースでも同じことが言えると思われます。
しかし、逆を言えば術後からどのような方法化によって、関節運動を起こすことができれば、コラーゲン線維に関わる拘縮を予防することができため、予後に大きな影響を与えられます。
ではどのように動かしていけばいいのでしょう。
それを紐解くにはなぜ不動によってコラーゲン線維間に架橋結合が起こってしまうのかを知らなけれないけないように感じますね。
不動による血液循環の流れ?栄養状態の問題?など原因はあるはずです。
それがわかれば治療法が見えてくるのでしょうが・・・。
ただ術後ということなので、
◯炎症部位を刺激しないこと
◯術部に刺激を与えないこと
◯精神状態を考慮すること
◯防御性収縮に注意すること
などに考慮しなければいけないということは考えられます。
何はともあれさらに知識を深めて要検討していかなければいけませんね。
この記事の内容は、文献をあくまで紹介で、内容を掻い摘んで説明しているものなので、ぜひ本文を見ていただきたいと思います。
人それぞれ文献の理解の仕方も違うので、読んでみて自分はこう思った、こういったことにも役立ちそうというコメントをいただけると嬉しいです。