肩甲帯前面_烏口突起の触診
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上腕骨の近位から中間部にかけではどのような構造をしていて、さらにどんな触診が必要になるのかは肩関節の治療で非常に役立つ知識です。

ここでは、上腕骨の近位から中間部にかけての特徴や詳細な解剖、そしてそれらを触診するための方法を解説しています。

上腕骨とは!?

上腕骨といっても長管骨ですので、近位と遠位では全くその形態が異なっていますし、重要となる点が違います。

ここでは近位から中間部にかけての解剖学的特徴を解説をして、次に続く触診の役に立つ知識にして頂きたいと思います。

まず上腕骨の近位といって最初に思い浮かぶことはどのようなことでしょうか?多くの方は肩甲上腕関節を構成する上腕骨頭が一番最初に思い浮かぶのでないでしょうか?

肩甲上腕関節は上腕骨頭の半球状の凸要素と肩甲骨関節窩の凹要素によって構成され、凹凸の法則が見ることができる代表的な関節です。

肩甲上腕関節 凹凸

上腕骨の頚部は、大腿骨同様に中間部から近位にかけて折れ曲がるように傾斜した部位のことを意味し、また、近位部では捻転しています。

上腕骨の頚部は前額面で上腕骨長軸に対して約135°の角をなし、捻転では水平面で約30°後方へと後捻し、この角度を上腕骨頭後捻角と言います。(上腕骨頭と肘の上顆軸の垂線)

この角度があることによって、肩甲骨に対しての適合性を高めることが可能となっています。

上腕骨 後捻 頚体角

引用:筋骨格系のキネシオロジー P104

この上腕骨頭後捻角に関して、Edelsonは、骨標本336体の上腕骨頭の後捻角を計測し、白人種・黒人種では約30°であるのに対し、中華人種では45°であったとし、また、幼児期では75°と大きく、年齢とともに減少し、16歳で減少が終了することを報告しています。

また、野球経験者では後捻角が大きくなることが報告されていて、投球側で後捻角が大きくなることがわかっています。

しかし、実際は後捻角が大きくなるというより、少年期からの繰り返しの投球によって、75°と大きい後捻角が減少する生理的な発育を抑えてしまい、後捻角が大きい状態で減少が終了してしまった結果だと言われています。

(後捻:retroversion。ラテン語で、retro ; 後方、verto ; ねじれ)

上腕骨には解剖頚と呼ばれる部位があって、骨体の近位端から骨頭の滑らかな関節面とを区別しています。

解剖頚と外科頚

上腕骨近位端の前面と外側面には大結節と小結節という膨隆部位が存在します。

小結節は前方に位置して、やや鋭くとがっていますが、大結節は大きく丸みのある部位になっています。

大結節はその大きな存在から、3つのパートに分けられていて、それぞれの部位には簡易的ではありますが、棘上筋・棘下筋・小円筋が付着しています。

これは筋肉の触診を行うときに非常に役に立つので覚えておくことをオススメします。

これら2つの結節の間の谷になっている部位は、結節間溝と呼ばれていて、ここには上腕二頭筋長頭腱が走行していることで有名です。

最近では、pulley lesionと呼ばれる病態も注目されているので、特に重要視されています。

結節間溝

このように上腕骨にも特徴的な部位が存在していて、それらは今後、筋肉や靭帯を触診していく上で非常に重要なランドマークになるので、しっかりと理解して触れるようにしておくことが重要です。

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上腕骨の詳細を知ろう!

上記ではおおまかに上腕骨の解剖について説明しました。ここの項目では、それらの内容をもっと詳細に学んで、次の触診に役立てていきましょう。

小結節

小結節は上腕骨近位端の前面に位置している骨の膨隆部です。

ここには肩甲下筋が付着することで有名ですが、肩関節の治療においては烏口上腕靭帯が付着することも覚えておく必要があります。

肩甲下筋 3d

小結節のすぐ内側には肩甲骨の烏口突起が位置していて、小結節と烏口突起とのインピンジメントが問題となることもあります。

しかし、その位置関係から小結節の触診をする時には役立ってくれます。ちなみに触診に役立つ知識として、烏口突起先端と小結節上面の位置はほぼ同じ高さになっています。

大結節

小結節の外側に位置して、上腕骨近位端の外側面全体を覆うように膨隆しているのが大結節です。その名の通り骨の膨隆が大きく、特徴的な形をしています。

大結節の特徴として非常に重要なのが、関節面の存在です。大結節には3つの関節面があって、それぞれに棘上筋・棘下筋・小円筋が付着しています。

このことは、筋肉の触診では非常に重要で関節面の存在を知っているか、知っていないかで触診の正確性に大きく関わることになります。

大結節を知る上で一番重要な事は、先ほども言ったように3つの関節面の存在です。それぞれは『上関節面』『中関節面』『下関節面』と呼ばれています。

大結節を1つの大きな膨隆部と捉えている方が非常に多いのですが、実際ははっきりと関節面に分かれています。このことは画像ではっきり確認できます。

このように大結節は3つの面によって構成されていることがよくわかります。結節間溝から上関節面、中関節面、下関節面の順で連続しているので、触診の時に参考にすることができます。

また、それぞれの関節面は付着する筋肉は、上関節面が棘上筋、中関節面が棘下筋、下関節面が小円筋と分かれています。

小結節稜

小結節から遠位に向かって伸びている鋭い稜のことです。ここには、大円筋や広背筋が付着しています。

おそらく大円筋や広背筋の収縮に引っ張られて稜になっているのだと思います。

大結節稜

大結節から遠位に伸びている鋭い稜のことです。ここには、大胸筋が付着しています。

また、小結節稜と大結節稜の間は溝になっていて、ここが結節間溝で上腕二頭筋長頭腱が走行しています。

結節間溝

大結節の内側と小結節の外側によって構成されているのが、結節間溝と呼ばれる部位です。

ここには上腕二頭筋長頭腱が走行することで有名です。

また、大結節や小結節を触診する時に、結節間溝をランドマークにして、ここを中心に触っていくこともできるので、触診の時にもかなり重要な部位です。

三角筋粗面

その名の通り三角筋の付着部です。かなり有名な部位ではありますが、どこにありますか?と聞かれると案外わからない部位です。

三角筋粗面は、結節間溝の終了する部位の遠位・外側に位置しています。部位の詳細は大結節稜・小結節稜の画像を参照していただくと方がわかりやすいかと思います。

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上腕骨の簡単な触診法!

解剖学的な特徴を見てある程度のイメージが膨らんだかと思いますが、ここからは触診するためにはどうすればいいのかを解説していきます。

できそうでできない!それが触診というものですので、そんなの出来るよと感じている方にも是非読んで、実際に触っていただきたいです。

烏口突起の触診法

烏口突起は鎖骨の下方で膨隆部位として確認することができます。鎖骨の外側1/3の部位または鎖骨を正面から見て外側にある凹みの最深部の位置から尾側に2横指ほどのところに膨隆している部位として感じることができます。この触診法のポイントは、2横指下をグリグリと触れてさわるのではなく、鎖骨から2横指目に向かって、軽く圧迫した状態でスライドしていくことです。

肩甲帯前面_烏口突起の触診

そうすると軟部組織の柔らかい感触からカツンと骨の硬い部分が当たってくるはずです。これが烏口突起の上縁になります。

烏口突起の上縁を触れたら、上縁に沿って外側方向に向かって指を進めていきましょう。すると急カーブするポイントに行き着くはずで、ここが烏口突起の先端です。

今まで色々な方に肩関節の触診を教えてきましたが、意外と烏口突起の先端を触れていないことが多いです。大体の方は、烏口突起があるであろう場所に指を当て、骨の膨隆を探します。そして、烏口突起を見つけ、その膨隆している部位を烏口突起の先端としています。

ですが、烏口突起は外側下方に垂れ下がっていて、さらに先端は突出しているというより埋もれていく、という特徴があります。ですから、烏口突起の上縁からしっかりと先端まで追っていくことをオススメしています。

先端を見つけることができたら、今度は先端の丸みに沿って下縁に指を進めてみましょう。大胸筋の発達具合によって触診可能領域は違いますが、痩せている人であれば、烏口突起基部にかなり近づくことができます。

烏口突起の全体を触れるようになることで、小胸筋や烏口上腕靭帯、三角筋胸筋三角、烏口腕筋などの触診をするときに大いに役立てることができます。

多くの場合ここが烏口突起ですよと、簡単に説明されがちですが、基部から先端まで、上縁から下縁までの全体像をしっかり触診できるようにすることをオススメします。

小結節の触診法

小結節の触診は2つのパターンがありますが、どちらの方法でも触れるようにしておくと便利です。ぜひ両方練習しておきましょう。

烏口突起から触診する

まずは烏口突起から触診していく方法です。この方法は、烏口突起の先端と小結節の上面との高さが一致しているという特徴をいかして触診します。

まずは先ほどの烏口突起の触診で、先端まで追っていきます。そうしたら、烏口突起先端から外側に1〜1.5横指のところが小結節になります。

烏口突起と小結節の関係

ここは三角筋などの軟部組織によって触りにくいことが多々ありますので、ゆっくりと圧迫を加えていきましょう。そうすることで、骨の硬さを感じるようになります。

骨の硬さを感じたら、ゆっくりと指腹で円を描くように膨隆を感じて、小結節の存在を確認します。小結節が確認できたら、今度は指腹を頭側に向かわせて膨隆の終わりを確認します。膨隆部から背側に向かって傾斜しているはずです。ここは少しではありますが、面上に捉えることができると思います。

小結節上面の確認

結節間溝から触診する

次に結節間溝から触診を進めていく方法を紹介します。この方法では触っていく前に上腕のアライメントを調整しておくことがポイントです。

まずは、上腕骨の内側上顆と外側上顆を結んだ線の中点から上腕骨頭に向かう垂線を仮定します。実はこのライン上付近に結節間溝が位置していて、このことを利用すると結節間溝の触診時に便利です。ラインが過程できたら肘関節は屈曲させておきましょう。

次に、上腕骨頭があるであろうところを触診します。指3本で指腹を使って大きく円を描くように触れるとわかりやすいと思います。上腕骨頭の膨隆が確認できたら、肘関節から引いたラインの位置に指を1本おき、ゆっくりと圧迫して軟部組織の影響を極力なくして深部を触れるようにしておきます。

指1本おいているところが大体の結節間溝の位置ですが、確実に結節間溝の位置を特定するために、指は圧迫した状態を維持して、肩関節をゆっくりと内外旋させます。最初のポジショニングで肘関節を屈曲させていたのは、この内外旋をしやすくするためです。

結節間溝の触診

肩関節を繰り返しゆっくり内外旋させると、指に盛り上がっては沈んでという感覚を感じるはずです。その時の指が沈んだところが結節間溝で、外旋したときの膨隆が小結節、内旋したときの膨隆が大結節になります。

回旋と結節間溝周辺

ここからさらに詳細に触診をすすめて、小結節を触診します。結節間溝が触診後、溝を作っている内側の壁側を頭側に向かって触っていきます。すると上方に伸びる壁が内側に傾斜していくことがわかるかと思います。ここが小結節の上面にあたる部分です。

ここまで触れることができたら小結節の触診は完了です。

小結節上面の確認

大結節の触診法

では最後に大結節の触診を解説します。大結節の触診では、結節間溝から触診するとわかりやすいです。まずは結節間溝を先ほどの方法で確認して、小結節の時と反対で溝を作る壁の外側を頭側に追っていきます。

すると外側に向かって傾斜していくことがわかるはずです。ここからが上関節面になります。ここには棘上筋が付着します。

さらに外側方向に上関節面上を進んでいくと、さらに傾斜していく部位に行き着くはずですが、ここからが中関節面になります。ここには棘下筋が付着します。

さらに外側方に指を進めていくと、今度は下方へと傾斜していく部位に行き着くはずですが、ここからが下関節面ということになります。ここには小円筋が付着します。

このように同じ大結節でも3つのパートに分かれていることを理解して、それぞれの関節面を触診できるようにすることで、腱板筋の触診ができるようになります。

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