肩関節に苦手意識ありませんか?理学療法士が持つイメージと実際
whitesession / Pixabay
スポンサーリンク

肩関節疾患に対する運動療法を行ったことがある理学療法士はどれほどいるのでしょうか?
どこからともなく、肩関節は難しいから新人が治療するには早すぎるといった話を聞き、肩関節の治療を行なっているという話をすると、肩は難しいのにすごいねぇという理学療法士が多くいる。
肩関節に対して苦手意識がある理学療法士は多いことを裏付けするような出来事です。

ですが実際に肩関節の治療は他の関節の治療よりも難しいのでしょうか?今回はこういった肩関節に対する理学療法士のイメージや実際についてをテーマに書いていきます。

肩関節に苦手意識はありますか?

皆さんは肩関節疾患の治療と聞いてどのようなことを思い浮かべますか?苦手だなと想う人もいると思います。
ですが、苦手意識のある理学療法士の中には、肩関節の治療を行なったことがないのに、苦手と言っている場合も多いのです。
治療したことないのに、難しいといっている事には違和感を覚えますが、それだけ肩関節=難しいというイメージが強いのでしょう。

実際に肩関節治療は非常に難しいです。でも他の関節の治療は簡単と言っているわけではありません。
膝関節も手関節も腰も、すべての関節が肩関節と同様に奥が深くて、治療が難しいです。単関節だから・動きが少ないからなどといったことはなく、それぞれ奥が深くて考えることが多くて難しいです。

それにも関わらず、肩関節は難しいというイメージが強いのです。
一体なぜなのでしょうか?

スポンサーリンク

肩関節疾患の患者は少ない?

私が勤めているのは整形外科クリニックでは、全ての関節を対象に理学療法を行っています。
どの関節でも医師からの処方がくれば治療を行います。

ですが病院ではどうでしょうか?
話を聞く限りでは、殆どの病院では肩関節など上肢に関する治療は作業療法士が担当しています。
そのため、肩関節の勉強をしても、実際に患者さんの治療ができていないというのが、多くの病院における理学療法士の現状のようです。

クリニックの特徴として、作業療法士が働いていることが少なく、ほとんど理学療法士です。
そのため、全ての関節の治療が行える必要があります。
とは言っても、どこのクリニックでも肩関節疾患が多くみられるというわけではありません。

私が務めているクリニックでは、上肢疾患を専門としていて肩関節治療を得意としています。
肩関節の内視鏡手術も行うほどの専門性を持っていますので、肩関節疾患の患者さんが多く集まるという背景があります。

ですが多くのクリニックでは、腰や膝関節の疾患が多いようです。
肩関節疾患が多く集まるかどうかは、近くに肩関節で有名な医師がいるかどうかも大きく関わるということでしょう。

このように、クリニックでは肩関節疾患の治療を行うことは病院に比べて多いですが、肩関節疾患の患者数自体は少ないことがわかります。
では日本整形外科学会のホームページに掲載されている整形外科新患調査2012を見てみましょう。
https://www.joa.or.jp/media/comment/pdf/investigation_2012.pdf

基本領域別新患件数

上肢に関する疾患は、全体の3割にも満たない程ですが、全体的に見てみると、脊柱・下肢と同等の割合です。
じゃぁ結構肩関節疾患も多いのでは、と思うかもしれませんが、これはあくまで上肢全体としての割合です。

そこで更に、細分化されたデータを見てみましょう。
すると上肢全体の中で、肩関節疾患の占める割合は、約25%という結果になっています。

新患件数 細分化

つまり、整形外科の新患が100人来院したとしたら、6人くらいが肩関節疾患と診断されるということです。
この資料には実際の新患についた病名の割合も記載されています。

部位別新患人数

これをみると、肩関節周囲炎の診断がついた患者さんは全体の2.5%だったことがわかります。
この表では全体の1%未満だった病名は省略されています。つまり、腱板断裂や肩関節脱臼は整形外科疾患で来院する患者さんの1%にも満たしていないことを意味します。

この資料は2002年の統計を行ったものなので、現在のデータとはことなってくるのかもしれませんが、それにしても少なすぎると感じます。

スポンサーリンク

本当に肩関節が痛い人は少ないのか?

統計をみると肩関節疾患が非常に少ないことがわかりましたが、本当に肩関節が痛いという患者さんは少ないということなのでしょうか?
私としては、肩関節が痛い方は非常に多くいますが、実際に病院に来る方が非常に少ないのだと思っています。

肩関節には他の関節と違って、来院されない理由があるのだと思います。
その違いとは『放っておいたら治る』と思っている方が多いことです。

実際に治療を行なっている患者さんのほとんどは、半年近く痛みを我慢していて、痛みが強くなったり、動かなくなってようやく病院に来くるという場合がほとんどです。
肩関節疾患の方にいつから痛くなったか聞くと、3ヶ月前・半年前・1年前など長期間我慢していたということが多いです。

そう言った患者さんになぜ来なかったか聞くと、ほぼ全ての方が「放っておいても治ると思った」「近所の人に病院行かなくても治ると言われた」「知り合いが病院行かなくても治ってから」という回答をします。
その一方で、膝・腰・手などの関節疾患の患者さんに聞いた場合は、昨日・先週など痛くなってからすぐに病院に来ていることが多いです。

このように他の関節と比べて、肩関節は痛くなったとしても、放っておけば治るというイメージが世の中に広まっているのでしょう。
また、肩が痛くなったらまずは接骨院や整体に行く、という意見も多いです。
こう言ったこともあって整形外科で肩関節疾患の件数が少ないのでしょう。

また特徴の1つとして、肩関節疾患では急性期を見る機会が少なく、そのほとんどが慢性期の患者さんです。
いよいよ病院に来たその頃には、拘縮が強く起こっていて、そのことで負の連鎖が起こる。そして、痛みが強くなっているというケースが非常に多いのです。
痛くなった時と現在の痛みが違うということもよくあることです。

『肩関節疾患が少ない』『拘縮が強く治療が難渋する』『痛みが強い』ということが、理学療法士の肩関節を難しいというイメージを持つ1つ理由なのかもしれません。

理学療法士と肩関節の関わり

整形外科クリニックには理学療法士が勤務していることがほとんどです。
そのため、肩関節の患者さんの治療も理学療法士が担当するのが自然の流れです。

しかし、病院には多くの療法士が勤務しています。そのため、それぞれの療法士の領域が区切られていられることがほとんどで、肩関節疾患の治療は作業療法士が担当することが多いようです。
診療所では理学療法士、病院では作業療法士といった状態です。

知人の理学療法士も、投球障害肩について興味があり、肩関節の勉強を一生懸命しているので、肩関節の治療をもっとしたいと嘆いています。しかし、病院に勤めているので、肩関節疾患の治療は作業療法が担当しているので、治療できないと嘆いています。

別の病院に勤めている理学療法士と話をした時には、肩関節疾患の治療を行うことが多いと言うと、「肩関節は作業療法士の領域でしょ」「理学療法士って肩のリハするの?」と言われたことがあります。
これだけ診療所と病院に勤める理学療法士では肩関節に対する認識が異なっています。

たしかに私の勤めるクリニックは上肢の専門であり、内視鏡による腱板修復も行うほど肩関節の専門性があります。肩関節といえばこの病院というイメージもあるほど肩関節疾患が多いです。
そのため、私の今まで治療を行なってきた関節の中でも、肩関節の治療がダントツに多いです!これは珍しいことだと思います。

ここまでの専門性が他のクリニックにないにしても、肩関節疾患の治療は理学療法士が行なっています。
肩関節は作業療法士の専門という定義はどこにもないのです。

理学療法士と肩関節がどうあるべきか

なぜ作業療法士は、上肢などの小関節が中心領域。PTは下肢など大関節が中心領域。という話を聞いたことがありませんか?
私も学生の頃には漠然とそういうものだと思っていました。
ですが理学療法士として臨床で肩関節疾患の治療を行っていると、その領域の分類わけには疑問しかありません。

そもそも肩関節も大関節ですので、大関節=理学療法士という定義であれば、十分に理学療法士の領域です。
最近では理学療法士がスポーツ選手の治療を行う機会が多くなってきて、肩関節疾患も非常に多いです。
スポーツといえば肩関節を使う機会が多いので、理学療法士が肩関節を治療出来ないとなると大問題です。

そもそも理学療法士は関節のスペシャリストである必要があると私は考えています。
『どこの関節でも深い知識と熟練された技術で治療が行える!』のが私にとっての理想です。

私は肩関節に対するリハビリが一番好きで、肩関節専門の理学療法士を目指しています。
ですが、他の関節についても、高水準の治療が提供できるように目指しています。
膝関節疾患の患者さんが来て、「自分は肩関節の専門だからな・・・」なんてことを考えたくもありません。

『どこの関節でも高水準の治療ができるけど、しいて言うなら肩関節が専門です』と言えるプロフェッショナルを目指しています。

みなさんがどのような理学療法士を目指しているのかはわかりません。
でもどんな関節疾患の患者さんが来ても自信をもって治療が行えるようにすることが最低限必要なんだと思います。

だから、苦手意識を持たずに肩関節を学んで、いつでも治療ができるようになりましょう。
私も未だに勉強中で偉そうなことは言えませんが、私が経験したことや考えていること、学んだことなど、私の持っている肩関節の情報をこのサイトで発信していくので、ぜひ勉強する中で活用していただけると嬉しいです。

肩関節は確かに複雑です。ですが案外とシンプルに考えられるのです。
そのことをこのサイトを通して伝えたいです。

肩関節の治療が難しいと思っていたけど、治療出来そう!という前向きな気持ちになってもらえるような記事を書き続けていきます!
肩関節の治療は楽しいです!

スポンサーリンク

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事