
肩関節の痛みは色々な条件によって起こってくるため、考察するにあたってなれていないと混乱してくるケースが多いように思います。
新人理学療法士や肩関節疾患をあまりみたことのない場合には、なかなかこのことに苦労するのではないでしょうか?
今回はそんなか側臥位(患側上の状態)で肩に痛みが出るという場合です。
一見横になると筋の作用が必要なくなり、関節窩や肩峰下への負担がなくなり、痛みが楽になるのではないかという考え方をしてしまいがちですが、それは大きな間違いなのです。
逆に側臥位はある程度状態の改善が図られていないと痛みに苦しむホジションなのです。
つまり、患者さんとしては、就寝時に体位変換することができずに、リラックスができない・寝ていても痛くて起きてしまう、など睡眠障害が起きてしまうことになります。
そのため、理学療法士としてはできるだけ早期に改善したいものと考えることができるでしょう。
では、なぜ側臥位で痛みが増強するのでしょうか?
それを解明するために肩関節の構造を再確認することが鍵となります。
この図は言わずと知れた肩甲骨ですが、これをみて「はっ!」とすることができれば、解明にググッと近づきます。
線を見てもらえばわかる通り、肩甲骨の関節窩を強調した図になります。
そのことで気づくことがありますでしょうか?
注目すべきは関節窩の角度です。
イメージとして床と垂直に関節窩は存在していると思っている人も多いのですが、実際は床に対して少しの角度を持っているのです。
なぜかというと、立位時に若干関節窩を上方に向けることで、上腕骨頭の下部を関節窩の下部に引っ掛けるなど様々な理由で肩甲上腕関節を安定させるためにそういう構造になっているようです。
だいたい平均5°の角度を持っているのですが、そのことを考えると上腕骨を下垂位の状態は、肩関節内転位であると言えます。
ということは、肩甲上腕関節の上方ではつっぱっている状態と言えます。
また、側臥位の姿勢を考えた時に肩関節は内旋位になっていることが分かります。
つまり、棘下筋が引き伸ばされるということになります。
棘下筋は下図のように実際は棘上筋の停止部の方まで伸びてくるため、内旋ではかなり伸ばされることになります。
引用:望月 智之,棘上筋と棘下筋の上腕骨停止部について
これらを統合して、側臥位では肩甲上腕関節が内転・内旋の肢位となるため、棘上筋や棘下筋が持続的に引き伸ばされることになります。
そのため、その部位に癒着・瘢痕化や攣縮・浮腫があったりする場合に側臥位になった時、痛みが発生することが考えられるのです。
ここから先は以前投稿した記事に詳しく書いていますので、そちらん参照ください!