
今回紹介するのは、手関節の背屈制限を改善するための理学療法の考え方です。
まぁ、手関節に関しましては、理学療法士というよりも作業療法士をイメージすることが多いかもしれませんし、作業療法士が関わることがほとんどかもしれません。
しかし、整形外科クリニックでは、主に理学療法士しかいませんので、手関節に対しても日常的に治療を行なっています。
そもそも、理学療法士である以上、どこの関節に対してもスペシャリストである必要がありますので、しっかり治療できるようにしたいですよね。
で、今回紹介するのが背屈制限に対して月状骨に着目した理学療法をどう行うかということです。
月状骨は手関節の動きの中でも特によく動くとされる部分ですので、背屈制限に関しても最初に対処するべきところだと言えます。
まずはこの動画をご覧ください。
手関節ということもあり、1人で撮影したということもあり、動画がブレてしまっているので見にくかったかもしれませんね。
ですが、重要なところは見ることができていると思います。
その重要なところというのは・・・
背屈前と比べて背屈後では月状骨は掌側に移動してきているということと、遠位方向へと転がっているということです。
まず下の図を見てください。
オレンジの上線は橈骨の頂点から横に引いた線で、下線は月状骨の上端から横に引いた線です。
この図は背屈前ですが、2線間には距離があることがわかります。
では背屈後にこの位置関係はどうなるでしょうか?
この図が背屈後ですが、2線間の距離が縮まっていることがわかります。
つまり、背屈に従って月状骨は掌側へと移動してきていることになります。
またもう1つ注目してもらいたいのが、月状骨の運動方向です。
月状骨は背屈することで青矢印の方、つまり遠位方向への動きが強く起こります。
またそれに伴って、関節包が伸長されている様子もわかります。
これらのことから、手関節背屈で月状骨の動きに対する可動域訓練では、月状骨を掌側へ移動させながらも、遠位方向へと牽引をかけるようにして背屈を行う必要があることがわかります。
これがなかなか難しかったりします。
そもそも月状骨の触診は大丈夫かな?というとこにもなりますし、このことに関しては治療法をまた紹介する記事を書くことにします。
手関節の背屈1つを取ってもそれぞれを細かく見ていかなければいけないので、しっかりそれぞれの動態を把握することは大切ですね。
今後も舟状骨に着目した可動域訓練なども紹介していきます。