筋萎縮はなぜ起こる!骨格筋の機能から見る萎縮のほんと
MabelAmber / Pixabay
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投稿日:2018年9月12日

理学療法士になりもうすぐ10年になりますが、整形外科クリニックに努めていただけあった、非常に多くの患者さんを見る機会を得ました。その中で、今回のテーマにしました『筋萎縮』にも日常的に関わる機会があります。

しかし、骨折などによって固定している患者さんであれば萎縮を起こすのもうなずけますが、そうでない患者さんも萎縮を起こします。使っていれば萎縮は起きないイメージですが、一体なぜなのでしょうか?今回はこういったことの解説をしていきます。

筋萎縮とは

筋萎縮が起こるのはなぜかを解説していきます。が、その前に萎縮とは一体どういったものなのかを見ていきましょう。

wikipediaより引用

筋萎縮とは筋肉がやせること。

筋肉そのものにその原因のある筋原性のものと、筋肉に指令や栄養を供給している運動ニューロンにその原因のある神経原性、なんらかの原因により長期に筋肉を使用しなかったために筋体積が減少し筋の萎縮をきたした廃用性に分けられる。

と紹介されています。筋原性のものには筋ジストロフィー、神経原性には筋萎縮性側索硬化症(ALS)や脊髄性筋萎縮症(SMA)がよく知られています。また、筋原性筋萎縮症をミオパチー、神経原性筋萎縮症をニューロパチーとも呼びます。

しかし、実際の臨床ではミオパチーやニューロパチーが原因となって筋萎縮を起こしている患者さんは多くないと思います。そこで考えられるのが、3つ目の要素で紹介されている廃用性筋萎縮ではないでしょうか?つまり、日常の中で言えば、筋活動量の低下によって筋萎縮が起こっているのではないかという考え方です。

 

腰痛の分野において筋萎縮について見たり聞いたりします。どういったことかというと、日常生活で不良姿勢が続くと、短縮位にある筋肉は姿勢保持にあまり使われなくなってしまい、結果的に筋萎縮を起こしてしまう、というのものです。確かに、代表的な不良姿勢である円背姿勢になった場合、腹筋群は短縮位になります。そうすると、腹筋の活動量は低下して、腹圧の低下によって良姿勢の保持が難しくなってしまいます。そうすると、腰部筋群の活動量が上がってしまい、腰痛へとつながっていきます。このことは高齢者だけではなく、若い年代でもデスクワークなどで座る機会が多い場合には、円背姿勢になりやすいのです。

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なぜ筋肉の萎縮が起こるのか?

では、なぜ筋肉は萎縮を起こすのでしょうか。筋肉が萎縮を起こす理由、それは筋タンパク代謝が大きく関わっています。

筋タンパク代謝とは、筋肉内で常に行われるタンパク質の合成と分解のことで、筋萎縮に直接関係があります。特に筋原線維は筋細胞内の全タンパク質の7080%を占めています。筋原線維は筋線維方向と並行に走っていて、筋原線維の数によって筋線維断面積が決まります。つまり、筋原線維が多く分解されてしまえば、筋萎縮が起こるということになります。

ここで著書に書かれている論文を引用します。

Thomasonらは、後肢非荷重直後(1日以内)、ヒラメ筋のタンパク質合成速度は約50%低下し、この合成速度の低下はその後の後肢非荷重期間もほぼ一定に保たられることを示した。

引用:骨格筋の構造・機能と可塑性原著第3版理学療法のための筋機能学より

という内容で紹介されています。これは非常に興味深いものです。

タンパク質の合成速度が1日以内から起こるということは、1日以内にタンパク質の合成速度よりも分解速度のほうが上回ってしまうことが考えられるからです。

つまりこのことで重要なのは、日々の生活において活動量が少ない場合には、タンパク質の分解速度が合成速度を上回ってしまい、筋萎縮が進行していくことも考えらるということです。

 

不動直後にはタンパク質合成速度が約50%ほど低下して、逆にタンパク質分解速度が優位になることで、筋原線維の分解がおこなわれ、それとともに筋重量の減少が起こります。しかも、タンパク質の分解速度は不動の状態であれば、4日から14日間は上昇し続けます。

しかし、30日でタンパク質合成速度とタンパク質分解速度の割合は一定となり恒常した状態に達します。つまりこのことからは、日常生活であまり使わない状態の金は、完全不動でなくとも徐々に分解され、筋萎縮を起こしていくことがわかります。筋萎縮の程度はタンパク質の合成速度と分解速度のどちらが優位になっているかによって変わります。

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まとめ

今回は筋萎縮について少しフォーカスを当てて見ました。臨床上よく見かける筋萎縮ですが、いまいちなぜ起こるのかがはっきりしません。そのため、今回のテーマとしました。

筋の萎縮は使わないことによって引き起こされるということは、知識がなくとも何となくわかっていることです。しかし、筋萎縮が起こる背景には、活動量低下によるタンパク質合成・分解の要素が関係していることがわかりました。筋萎縮が起こるのは、筋活動量の低下によりタンパク質分解速度が優位になってしまうからです。

理学療法士としてはこの事実を受け止め、今後生活指導や理学療法のなかでどのように対応しないといけないかを考えていかねばなりませんね。

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