筋肉の仕組みを知ろう!構造と筋収縮のメカニズム
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はじめに

今回の記事は基礎医学編ということで、筋肉の仕組みについて説明していきたいと思います。

普段わかっているようでも、いざ説明するとなるとなんだっけ?となりやすい分野でもありますし、学んでみると新たな一面に気づくこともできるものです。

 

カラダを動かすときには、筋肉と神経系が協調して働き、骨格系を動かすというメカニズムが必要となってきます。

筋系は神経系の働きによって、収縮を起こすのですが、なぜ神経による刺激で筋肉が収縮するに至るのか?そもそも収縮するというのはどう言ったことなのか?わかっているようで意外と説明できないことも解説していきます。

 

この記事では理学療法士と関わりが深い筋系について基礎的な部分からそうだったのかという部分まで詳しくみていきたいと思います。

 

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筋系

筋肉は神経の伝達によって興奮することで力を発揮できるようになっています。いわゆるこれが筋収縮(筋活動)という現象です。

筋肉を分類すると平滑筋、 心筋、骨格筋の3種類に分けることができますが、 運動を行うため関節を中心とした骨回転作用があるのは、骨格筋です。運動器理学療法の主たる対象ですね。

 

この骨格筋の働きにより、 歩く、持つ、立つといった基本的な動作から走る、 跳ぶ、 投げるといった高度な動きまでを可能にしているのです。

では筋の構造を詳しくみていきましょう。

 

骨格筋の肉眼解剖学

骨格筋は1本の線維が複数集まって形成しているのとは少し違います。まずは骨格筋は、筋原線維という線維の束が筋鞘によって包まれ筋線維となります。

そしてそれらの線維は筋線維間が筋内膜によって覆われ、束となると筋線維束になります。更にそれら筋線維束間が筋周膜によって覆われ、それが束になって筋外膜によって包まれ骨格筋となります。

筋肉の構造 詳細

 

筋収縮が行われるとこれらの結合組織は、 発生した力を腱を介して骨に伝達しています。これらの組織をもう少し詳しくみていきましょう。

 

骨格筋の顕微解剖学

筋線維はそれぞれが1個の細胞で、個々の筋線維は筋鞘という細胞膜に覆われています。

筋の細胞全体を包む筋鞘は、グルコ ースなど物質の細胞内外への通過を調節し、活動電位(インパルス)の形態で刺激を受け取り伝達します。

 

これができるのは、筋鞘にはアセチルコリン受容体を多く含んでいて、神経筋接合部では特に密に集合している状態になっているからです。

つまりは、これらアセチルコリン受容体により活動電位を受け取ることができるのです。

 

1本の筋線維の構造

 

筋鞘内は、筋形質と呼ばれ細胞質にあたる部分で満たされています。

この水溶液中にはアデノシン三燐酸(ATP: 筋活動に直接利用できる唯一のエネルギー源)、ホスホクレアチン、グリコーゲン、脂肪など、細胞のエネルギー源が含まれています。

また筋形質には細胞小器官というものも含まれ、その1つにミトコンドリアがあります。

 

ミトコンドリアは酸化機構によってATPを産生する場所として有名です。

有酸素による運動を行なう際には非常に重要であり、筋肉のタイプを分ける際の1つでもあります。

 

もう1つの重要なものに筋小胞体があります。

筋小胞体はカルシウムイオンを蓄えていて、細胞内のカルシウムイオン濃度を変えることで筋活動を制御しています。

 

神経筋接合部で受け取った活動電位が横細管(T管)という筋鞘に開口部をもつ伝道経路から細胞内部に到達すると、筋小胞体は細胞の筋形質内にカルシウムイオンを放出します。

これにより筋線維は収縮を行うことができるのです。

 

ではその収縮様式を持っている組織を詳しくみていきましょう。

 

筋原線維

それぞれの筋細胞(線維)内は、筋原線維と呼ばれる円柱状のタンパク質構造が幾十にもなって構成されています。

その線維は筋線維の全長にわたって平行に走行しているのですが、これらがいわゆる筋フィラメントと呼ばれる組織です。

 

筋原線維というのは、さらに詳細にみると筋フィラメントが集まってできた組織ということになります。

筋フィラメントは主にミオシンフィラメント(太い)とアクチンフィラメント(細い)の2種類によって構成され、それらは筋原線維の全長で規則正しく配列されています。

また、筋原線維をみると縞模様になっていることがわかります。

 

ミオシンフィラメントはさらにミオシン分子が集合してできている組織です。ミオシン分子は頭部、 頸部、 尾部から構成されていて、頭部でアクチンフィラメントと結合しています。

つまり、この頭部でATPの加水分解エネルギーを用いることで、アクチンフィラメントを引き込むように力が発揮されることで筋活動が起こります。

 

アクチンフィラメントはGアクチンという球形のタンパク質から構成され、それぞれのGアクチンがミオシン頭部との結合部位を持つことになります。

またGアクチンは重合してFアクチンという螺旋状のフィラメント形成しています。

このアクチンフィラメントには更にトロポミオシンとトロポニンという2種類のタンパク質も付着しています。

 

トロポミオシンとトロポニンは筋収縮を調節するためのタンパク質で、 両者が共同で収縮性タンパク質であるミオシンとアクチンの相互作用を調節していると考えられています。

 

Gアクチン&Fアクチン

 

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サルコメア(筋節)

サルコメアは筋の基本的な収縮単位で、Z線から隣のZ線までが1つのサルコメアとして表されます。

A帯はミオシンフィラメントが位置しているところを表していて、この部分が主に暗帯となっているところで、縞模様に見える部分です。

 

A帯の中でミオシンのみが存在している部位を、 H帯と呼び、更にH帯の中央に位置する最も暗い線をM線と呼びます。

ここはMプリッジという部位で隣接しているミオシンフィラメント位置を正しい配列に保つためにそれぞれを繋げている部位のため、暗く見えます。

 

Z線の部分はアクチンフィラメントが固定されている部位です。

I帯はアクチンフィラメントの重なりの部位ですが、Z線やA帯ほど密に形成されていないので、明帯となっています。それぞれの重なり具合によって骨格筋の縞模様が形成されていることがわかります。

 

サルコメア

 

神経筋接合部

筋についての説明を行ってきたが、ここで筋線維が収縮するためにはという点で 神経との関係を説明します。

まずは筋肉は神経系からの刺激がなければ収縮を起こすことが出来ません。この神経と筋の刺激を伝達するための場所が、神経筋接合部という部位になります。

 

神経筋接合部は各筋線維に1つずつ接続されていて、 細長い細胞の中央部に存在しています。

神経筋接合部を構成しているのは、神経細胞の軸索終末、筋細胞膜の運動終板です。

また、それらの間はシナプス間隙と呼ばれており、ここで神経の伝達を筋に伝えています。

 

フィラメント滑走説

ではさらに詳細に筋収縮について説明し、筋収縮とは何かを理解しましょう。

 

筋肉が収縮するメカニズムとしてはフィラメント滑走説が現在では有力とされています。しかし、説というだけあって、いまだにその詳細は明らかにはなっていないようです。

フィラメント滑走説は、アクチンフィラメントとミヨシンフィラメントが互いに滑り込みを行うことによって、筋肉の収縮・伸張が行われるというものです。

 

よく筋肉をゴムに例えることがありますが、実際にはどこも伸びることなく収縮・伸張が行われていると言うことです。

では、 筋活動の過程をみていきましょう。

 

1.活動電位とアセチルコリンの放出

活動電位が神経細胞の末端まで伝わると、 神経筋接合部で興咆性神経伝達物質のアセチルコリン(ACh) が放出されます。

そもそもAChというのは静止状態においては、 軸索終末にあるシナプス小胞に貯蔵されていて、活動電位が神経筋接合部まで伝わり興奮が起こることでシナプス間隙に放出されます。

 

2.アセチルコリン受容体と活動電位

放出されたAChはシナプス間隙を越えて、 筋線維の運動終板に存在するACh受容体と結合することになります。

ACh受容体で結合すると筋線維の筋鞘で活動電位が生じることになり、この活動電位はさらにT管を通じて筋線維内部に伝わっていきます。

活動電位がT管に伝わると、筋小胞体は貯蔵しているカルシウムイオンを放出します。

 

3.カルシウムイオンの作用アクチンフィラメントの変化

カルシウムイオンが筋形質内に放出されると、アクチンフィラメントの全長に沿って存在するトロポニン分子に到達し結合します。

トロポニン分子と結合すると、トロポニンの構造に変化が起こって、それに付着しているトロポミオシンがアクチン上の結合部位がミオシン頭部に対して露出します。

 

4.クロスブリッジ

アクチン上の結合部位が露出すると、 ミオシン頭部はこれと結合してクロスブリッジを形成し、 アクチンフィラメントをサルコメア中央部に引き込もうとします。

引き込みが生じて筋が短縮するかどうかは、 クロスプリッジの引<力と、 クロスブリッジに対抗する外力の大きさで決まります。

この時にエネルギーが必要となるのですが、静止状態の筋では、ATPがアデノシン二リン酸(ADP)と無機リン酸(Pi)に分解することで得られたエネルギーをミオシン頭部に蓄えていて、そのエネルギーを用いることになります。

 

5.解離とエネルギーの貯蔵

アクチンフィラメントを引き込むと、 ミオシン頭部のエネルギーは減少しますが、アクチンフィラメントから離れるためにも、エネルギーを補給するためにも、ミオシン頭部が新たなATP分子と結合します。

ATP分子と結合したミオシン頭部はアクチンから解離し、 ATP分子はミオシンアデノシン三リン酸分解酵素 (ATPアーゼ)の働きで分解され、またエネルギーを作り出します。

これによりミオシン頭部は再びエネルギ一を蓄えます。

 

アクチン上の結合部位がまだ露出していれば、 ミオシン頭部は再びアクチンとクロスブリッジを形成し、 サルコメアを中央部へ引き込もうとしますが、筋線維が運動神経から収縮の刺激を受け続ける限り、 この過程が繰り返されることになります。

 

まとめ

筋肉は一般の方の認知度の高い人体の組織ですが、一概に筋肉といっても、分子レベルまで見ていくと非常に複雑な構造をしています。

普段見ている限りでは、線維の集まりでそれが伸び縮みしているという認識になりがちですが、実際にはミクロの世界が広がっています。

 

その収縮様式も説明するのが難しいほど、繊細なメカニズムによって成り立っていて、人体の凄さを感じることができます。

一般的に筋肉はゴムのように伸び縮みするという話をよく聞くのですが、今回の記事を読んでいただくと実際にはそれとは全く違うことがわかっていただけたと思います。

 

ではストレッチとはどういったことなのか?筋力トレーニングとはどういったことなのか?、筋肉についての知識を広げればそれも自ずと見えてくるのかなと思います。

このことを理学療法にどう反映するのかという部分にも、詳細な知識が加わればより良い治療を行うこともできるようになるでしょう。

今回の記事は基礎的なものになりましたが、このことが理学療法に良く反映されると嬉しいです。

 

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