創傷治癒
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理学療法士は術後の患者さんのリハビリを行うことが日常的にあります。

私も整形外科クリニックに勤めていますが、院長先生が手術をするため、毎日のように術後の患者さんのリハビリを行っています。

手術では少なからず皮膚を切開しなければいけません。そのことで創傷ができるので、理学療法士はそのことの知識を入れておかなければいけません。

ここでしっかり学んで臨床で活かしていきましょう!

創傷治癒の過程とは?

私たちの体は皮膚という組織によって包まれています。その皮膚はあらゆる外の環境から体内を守ってくれているので、なくなてならない組織の1つです。

そんな皮膚も最外側で体内を守っているだけに、傷ついてしまうことが非常に多い部位でもあります。しかし、数日もすれば小さな傷であれば治ってしまうことを経験しているはずです。

そこはどのようなメカニズムによって修復されているのでしょうか?

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三段階による修復過程

 

最初に知って欲しいのは、傷は三段階によって修復されていくということです。

第一期:炎症反応期

第二期:増殖期(肉芽形成期)

第三期:安定期

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炎症反応期

 

まずは止血から!

皮膚というのは他の組織と同様に細胞によって形成されています。そのため、創傷が治癒されるというのは、細胞が修復されるということを言っています。

皮膚に損傷が起こるということは、細胞が破壊されたということになり、また皮膚以外にも血管も張り巡らされていることから、血管が損傷し出血が起こります。

そのため、体としてはまず最初にその出血を止めることを行わなければ出血多量になってしまいますので、止血は大前提となります。そこで活躍するのが血液中に含まれる血小板と呼ばれるものです。

血小板は、皮膚損傷部の膠原線維に付着することで活性化されます。そして活性化されることでフィブリンという物質が生み出され、これが血液凝固に関わります。

フィブリン(fibrin)は、血液の凝固にかかわるタンパク質で、非水溶性の線維状のものです。そして損傷が起こると血小板とともに重合して、網状につながり赤血球や白血球などの血球を包み込みながら、血餅を作り上げます。

創傷治癒の要と言えるでしょう!

実際は、血管内皮細胞が損傷することで、血管内皮に接着し、さらに血小板同士が集まっていくことで、血栓が出来上がります(一時止血)。

さらに多くの血液凝固因子が放出されて、フィブリンが凝固していくことで、二次止血が行われるようです。(引用:wikipedia)

ちなみに体外で固まった血小板とフィブリンなどが乾燥したものが、「かさぶた」です。

このように血液では、いつある変わらない損傷に対して、いつでも修復が開始できるように不活性の状態で待機し、損傷が起こることで一気に活性化するのです。

修復の始まり!

 

止血が行われたことで、ついに創傷治癒が開始されます。

創傷治癒を行うにあたって、とても大事なことがあります。それは損傷部位を綺麗な状態にしていくということです。

人が家を建てる時に、岩がゴロゴロ、ゴミだらけのところで、「さぁ建てていきましょう!」とはなりませんよね。

それは創傷治癒でも同じことです。

細胞は破壊されることで、様々な化学物質を放出しますが、その中には内皮細胞に対しても作用するものもあります。これが作用することで、それぞれの内皮細胞の間には隙間が生じ、浸出液がしみ出してきます。

この浸出液には白血球や単核球、リンパ球が存在していますので、それらが損傷部位へと集まってくることになります。このことは遊走という現象で知られています。

損傷が起こることで、外界との連絡ができてしまいますので、感染などの恐れが出てきます。そのため、殺菌が必要となりますし、損傷によって死んでしまった細胞の処理をしなければいけません。

まずは、好中球が増殖し、貪食と殺菌が行われ、細菌を処理しますが、死んだ細胞は取り込むことができません。そこで単核球であるマクロファージが働きます。

マクロファージは貪食細胞と言われ、その名の通り食作用によって死んだ細胞や細菌を処理してくれます。

これらの働きによって、体内では炎症と言われる現象が起こるのです。

炎症には、「炎症の4主徴」と言われるものがあります。腫脹・発赤・発熱・疼痛です。

腫脹というのは、内皮細胞間の拡大による浸出液の浸潤によって起こるものです。

発赤は、損傷によって起こる細動脈の拡張によって血流量が増加することによって起こる現象です。

発熱は、マクロファージなどが発熱物質を産生することで引き起こされる組織反応の結果生じます。

そして、疼痛は末梢神経に痛み感覚が入力されることによって起こる現象です。損傷が生じるとプロスタグランジンやブラジキニンなどの疼痛誘発物質が放出されますので、そのことによる影響です。

このように炎症反応期では、まず治癒を行うにあたっての準備を行うとても大切な期間ということがわかっていただけたと思います。またこれらの反応は受傷後4、5日行われるものです。

肉芽形成期

 

肉芽形成期では、炎症期に引き続き受傷後3-4日後から毛細血管の新生や線維芽細胞の増殖を行う期間です。

炎症反応期で活躍したマクロファージは、IL-1を賛成して線維芽細胞を増殖させます。

線維芽細胞というのは、コラーゲンやプロテオグリカンなどを産生する細胞で、皮膚機能を保つ上で最も重要な細胞です。

 

この線維芽細胞によって産生されたコラーゲンは損傷部を埋め、それに支えられながら毛細血管の新生が行われます。そうすることで、血液の交通が再開し、酸素や栄養を確保できるようになり、さらなるコラーゲンの産生を行うことができるようになります。

これらのことにより幼若結合識を作り、肉芽組織が形成されます。

肉芽組織は毛細血管・線維芽細胞・好中球・リンパ球・形質細胞・コラーゲンなどによって構成されるものですが、治癒が経過するにつれて、線維成分が増殖し膠原線維化し、逆に細胞成分・液体成分が減少していきます。また毛細血管も消失し瘢痕組織となりますが、肉芽組織から瘢痕組織になり、皮膚の強さが正常になるのに2-3週間かかるそうです。

安定期

肉芽組織が形成された当初は、コラーゲン線維は細くて方向性もバラバラになっているため、非常に不安定な状態となっています。

そこから細くてバラバラなコラーゲン線維は太く短い丈夫なものへとなり再構築されます。

創傷治癒された時には、表層は瘢痕組織は、表皮細胞の増殖により表皮が完成しますが、それよりも深層は肉芽組織によって埋め尽くされた場所であり、コラーゲン線維によって埋め尽くされた状態となります。

まとめ

このように、創傷治癒は3つの過程を経て完成します。

このことを学ぶと、人間には自己免疫機能があるため、炎症期に消毒しなくても、むしろ消毒しないほうがいいことがわかります。

また、乾燥してしまうと適切な殺菌やゴミの処理が行えないことから、湿潤状態を保つことの重要性がわかり、適切な増殖期を迎えることが創傷治癒の大原則であることがわかります。

説明の関係上それぞれの時期が段階的に起こるように説明していますが、実際は少しずつ重なって行われていきます。

理学療法士としては、このことを学ぶことで術後のリハビリに役立てることができるのではないでしょうか?

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