足関節後方で起こる拘縮!エコーによる観察
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足関節は骨折やアキレス腱断裂など、その周囲組織での損傷によって、拘縮に至るケースが非常に多いです。
骨折や手術によって固定を強いられ、松葉杖による免荷によって、その活動性は著しく低下します。
ではどのようにして拘縮に至るのでしょうか?

今回は足関節の後方組織を中心に、メカニズムなどの重要なポイントを解説していきます。

癒着や瘢痕化による拘縮の存在

足関節はなぜ周囲組織が損傷することで、拘縮を起こしやすいのでしょうか?
これはほとんどの場合、癒着や瘢痕化によるものです。

足関節損傷後の過程を考えてみると、手術による修復を行っている、長期固定を行なっている、痛みによってほとんど動かしていない、ということがほとんどです。

このため、治癒過程で組織の癒着や瘢痕が起こりやすく、痛みがなくなってきても、拘縮の存在で動かしずらいということが起こります。
また、癒着や瘢痕化による影響なので、治癒も難渋してしまうケースが非常に多いです。
癒着に関しては過去の記事をご覧ください。

癒着というのは、違う組織同士の表面に線維芽細胞の増殖によって作られた線維帯によって架橋形成された状態です。
そのため、相互組織によって行われる滑走性が失われ、関節運動を阻害されている状態です。

では、足関節において、どういった組織同士が癒着を起こすのでしょうか?

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足関節を構成する組織

足関節における癒着を考えるにあたって、基礎知識がなくては先には進めません。足関節の解剖を復習していきましょう。
足関節後面 - 骨

まずは、骨構造を見てみます。
足関節は脛骨と腓骨、そして距骨により構成されている関節です。

脛骨・腓骨により形成された凹となる関節窩に、凸である距骨の距骨滑車がはまり込むかたちで、距腿関節が形成されています。
関節運動では底屈と背屈が行われます。

では足関節の後面にある筋肉を確認します。。
足関節後方 - 筋
足関節後面を走行している筋肉には、腓腹筋やヒラメ筋、長母趾屈筋があります。
後脛骨筋や長趾屈筋に関しては、その走行上内顆のすぐ後方を通り、距腿関節の後方を走行していないので、今回は含めていません。

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足関節に存在する空間を埋めるもの

解剖学の復習をしたところで、今一度足関節後方の組織の様子を観察すると、上記の解剖学では疑問が出てくるはずです。
それが、足関節後方における、骨とアキレス腱の間にある大きな間隙についてです。
足関節後方の間隙

体内の中には空間というものがあまり存在しない中、足関節後方に大きな間隙があることには、違和感を感じざるにはおえません。
しかし、実際に触ってみると、空間があるようなスカスカとした状態ではないことがわかります。

実はここには Kager’s fat pad という脂肪体がで埋め尽くされています。
膝関節にも膝蓋下脂肪体という脂肪体があることが有名ですが、体のあちこちに脂肪体と言われるものが存在しています。
Kager’s fat padもそんな脂肪体の1つです。脂肪体の役割は、組織が摩擦を受ける場所や滑走性が求められる場所で緩衝材として活躍することです。

Kager's fat pad

この図は、足関節の断面図になのですが、A:アキレス腱 P:Kager’ fat pad です。
このように、骨とアキレス腱との間にある間隙は、びっしりと脂肪体で埋め尽くされていることがわかります。

脂肪体の欠点

関節運動において脂肪体は必要不可欠な存在ですが、しかし、脂肪体にも欠点があります。
非常に痛みに敏感で、炎症が起こると癒着や瘢痕化してしまうことです。また、そうなるとより強い痛みを出しやすくなります。

fat pad 痛み

この図は、Dye という方の膝の脂肪体と痛みについての関わりを調べた研究です。
それぞれの詳細部位は色分けされており、色が濃くなるにつれて痛みを感じやすくなる場所です。すると、膝蓋下脂肪体に痛みを感じるセンサーが多く存在することが分かります。

脂肪体での炎症、または他部位での炎症が波及することで、血管増生が起こり、それに伴って神経も増殖します。そのことで非常に敏感な組織となり、少しの刺激にも、痛みとして反応するようになってしまいます。

炎症を起こしやすく、起きた時に影響を受けやすい、癒着や瘢痕が起こりやすい、それが脂肪体のデメリットです。

脂肪体を中心に見てみる!

より足関節の脂肪体について詳細に知るために、MRI画像を見てみましょう。

足関節後方 MRI

P. Theobald, et al : The functional anatomy of Kager’s fat pad in relation toretrocalcaneal problems and other hindfoot disorders

MRIで見てみても、アキレス腱と骨の間には脂肪がびっしりと詰まっていることがわかります。
また、その脂肪体は3つのパートに分かれていることが知ることができます。

さらに脂肪体を詳細に観察するときには、アキレス腱パート、長母趾屈筋(FHL)パート、ウェッジパートに分けます。

それぞれのパートについては、この動画を見ることでその重要性を知ることができます。

この動画は、底屈時の脂肪体の動きを捉えたものですが、底屈するによって、アキレス腱パートは近位へ、FHLパートはその場に残っていることを観察することができます。
つまり、アキレス腱パートとFHLパートの間では、底屈に伴って滑走しなければいけないということです。

歩行時の toe offで考えてみましょう。
Toe offでの足関節は底屈しています。しかし、母趾は伸展しているため、足関節後方では、アキレス腱パートは近位へ、FHLパートは遠位へと移動するひつようが出てきます。
そのため、それぞれのパートにおける滑走性がないと、toe off のような動作が行えないということになります。

これらのことからわかるように、足関節拘縮では、それぞれの脂肪体パート間で癒着や瘢痕が起こって、滑走性が著しく低下している可能性が高いです。

そのため、足関節拘縮では、ただ闇雲に可動域訓練を行なっていても改善することが望めないことが多く、脂肪体同士の滑走性改善に取り組まなければいけません。

まとめ

いかがだったでしょうか?
足関節拘縮では、関節や靭帯・筋肉による影響を評価・治療する他にも、脂肪体に着目する必要があることがわかっていただけたと思います。

さらに、脂肪体が3つのパートに分かれていることから、どこのパートで問題が発生しているのかを評価し、治療を実施する必要性が見えてきました。
今回は足関節後方で起こる拘縮の考え方について解説しましたが、また別の機会に評価・治療の方法を解説していきます。

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