理学療法 筋肉
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肩関節周囲炎を中心とした炎症が問題となっている肩関節疾患では、しばしば夜間痛を伴うことが多くあります。
寝始めから痛い場合や、寝ていると徐々に痛くなってくる場合、寝付くことができても痛くて起きてしまう場合と、いずれにしても睡眠障害を伴うことが非常に多いです。

睡眠は、1日の中で最もリラックスをする時間であり、1日の疲れをリフレッシュする時間です。その時間を痛みによって蝕まれてしまうことは、精神的に大きなダメージです。
そういった生活に大きな影響を与える夜間痛はなぜ起こるのでしょうか?
今回は夜間痛のメカニズムに解説します。

夜間痛とは?

夜間痛とは、肩関節周囲炎など炎症を伴う肩関節疾患に見られる睡眠中の痛みです。寝ている時に起こる肩関節の痛みによって、寝ていられなくなる状態です。
夜間痛が起こっている場合、ほぼ毎日痛みによって悩まされることになるので、睡眠不足になることも多いです。

夜間痛の特徴として、痛みで起きてしまっても、起き上がって肩をさすっていると痛みが和らいでいくことがあります。
テキストなどでは、五十肩・肩関節周囲炎に起こる症状として紹介されていることも多いですが、腱板断裂など炎症によって症状が引き起こされている場合であれば、夜間痛が起こることが予測されます。

現在、この夜間痛に関しては、多くの見解が出されていますが、解明には至っていないようです。
しかし、これで間違い無いのではという有力なメカニズムがあるのですが、1つではありません。おそらく夜間痛にもいくつかのタイプがあるのでしょう。

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肩峰下圧の上昇による夜間痛

肩峰下圧とは、烏口肩峰靭帯直下にかかっている上腕骨頭からの圧力のことを意味します。
肩峰下には、肩峰下滑液包や棘上筋・腱板疎部があり、腱板断裂や肩峰下滑液包炎など炎症が起こりやすい部位としても知られています。

そもそも、なぜ炎症が起こりやすいのかというと、肩峰下を通る上腕骨の存在が関係しています。
肩関節の挙上動作では、大結節が肩峰下を通り抜けることが正常です。しかし、なんらかの理由によって肩峰下圧が上がっていると、肩峰下を通る際に、肩峰下面に衝突してしまいます。これがインピンジメント症候群です。

この衝突によって、組織は強い摩擦を受けることになりますので、組織は損傷し炎症が引き起こされるのです。
炎症が起こると、サイトカインやブラジキニン・ヒスタミンなどの疼痛発生物質や、ブラジキニンに作用して痛みを増強させるプロスタグランジンといった化学伝達物質が生じます。

ブラジキニン

wikipediaより引用

これらの疼痛発生物質や化学伝達物質が侵害受容器に作用すると疼痛が起こってしまいます。
炎症では侵害受容器も感受性が高くなり、閾値が低下していることから、弱い刺激によっても、かなり強い痛みが起こってしまいます。

このことから、夜間痛を考察すると、炎症によって域値が低下していることと、肩峰下圧が上昇している状態で、睡眠中に寝返りなどをしてしまうと、健常であればちょっとした動作でも、炎症を起こしている場合では、強い痛みを誘発してしまう、ということが言えます。

肩峰下圧の上昇は、肩関節の挙上によって起こることがよく知られていますが、その他にも腱板炎による腫脹や烏口肩峰靭帯の肥厚、肩峰骨頭間距離の短縮、肩峰下滑液包炎、関節包内容量の減少などによって起こります。

何らかの原因で肩峰下に炎症や腫脹などが起こることで肩峰下圧を上昇させる原因になるので、肩関節周囲炎以外の疾患でも、炎症が起こっているような疾患では夜間痛が生じることが考えられるということです。

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臥位姿勢と痛みとの関係

肩峰下圧上昇による夜間痛の他に、臥位姿勢により夜間痛が起こる場合があります。
この場合には、肩関節の可動域制限が大きく関わります。

夜間痛のある患者さんでは多くの場合、伸展・内転・内旋といった結帯動作や外旋で著明な可動域制限を認めることが非常に多いです。
臥位姿勢では、左右どちらの側臥位でも脇は閉じた状態で、肩関節の内転位が保持されることになりますし、背臥位でも内転と伸展位を保持される状態になっています。

つまり、肩関節の可動域制限が起こっていると、臥位姿勢では肩関節に常時ストレスが加わり続けることになります。
そのため、この姿勢が持続されると、肩峰下圧の上昇が起こり痛みへと発展していく可能性が出てきます。

また、夜間痛を生じている場合、多くの人に特徴的なアライメントが見られます。
肩甲骨が下方回旋しているということです。

理学療法 筋肉

この下方回旋は、肩関節の内転制限によるものだと考えられます。
人間の安静肢位は体側に沿わした状態です。この状態は筋肉をあまり使わなくてもいい楽な姿勢といえます。

しかし、肩の内転制限されていると、脇が開いた状態になってしまうため、体側に上肢を沿わすことができません。
そこで肩甲骨を下方回旋させ、上腕骨の内転制限により開いている分をカバーするのです。

肩関節疾患で夜間痛が起こっている症例では、よく見られますので、最初にアライメントを確認しておくことである程度予想しておくことはできるでしょう!

まとめ

肩関節周囲炎などによって肩峰下に炎症が起こること、肩峰下圧の上昇しやすい環境ができてしまいます。

さらに炎症が起こると、侵害受容器の感受性が高まり、炎症部位やその周囲では、サイトカインやブラジキニンなどの疼痛発生物質が大量に産生され、生き血の低下により痛みが出やすい環境になってしまいます。

この状態では、ちょっとした関節運動によっても、肩峰下圧が上昇し、感受性の高くなった侵害受容器が反応、閾値も低下しているので、強い痛みを誘発してしまいます。
炎症 痛み 肩峰下圧

また、夜間痛症例では、内転・伸展・内旋・外旋の制限が起こっていることが多いため、その状態で側臥位やは意外になることで、常に肩峰下圧を高めた肢位でい続けることになり、これでも痛みを誘発してしまいます。

これらのことから、夜間痛の症例では、炎症の有無やアライメント、結帯動作・外旋の評価・治療を行うことが最低限必要ということがわかります。

夜間痛に関しては、ほかにも要因がありますが、上記で述べたことを改善することは、夜間痛症例には共通することです。
今後この点に着目してみてください。

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