肩 治療
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こんな方におすすめ

  • 肩関節について初心者
  • 治療に悩んでいる
  • 治療法がわからない
  • 治療が難渋している

肩関節を知りたい方にオススメです。

肩関節の治療に関わる理学療法士は、今でこそ増えてきていますが、まだまだ少ない状況です。しかし、スポーツ障害に携わる施設が増えて、野球やバレー、テニスなど肩関節を使うスポーツに関わることが増え、肩関節に対する知識と治療技術が必要になってきています。

そこで今回は、肩関節についてどのような流れでみていくことで混乱せず・整理しやすく治療を行うことができるか、また、再評価することができるのかを解説していきます。

どんな治療をしていますか?

肩関節疾患の患者さんがきてどのような治療を行っていますか?「インピンジメント症候群」「腱板断裂」「上腕二頭筋長頭腱炎」「腱板炎」など、肩関節だけでも様々な疾患があり、理学療法が適応されています。

インピンジメント症候群や腱板断裂であれば腱板トレーニングやダンベル体操、肩関節拘縮ではコッドマン体操が行われることが多いです。しかし、本当にそれでいいのでしょうか?「本当に筋力が低下している?」「本当に腱板機能が低下して骨頭の求心力を失っている?」「本当に肩関節の問題?」

そういった疑問を持って治療を行うことがとても大切です。

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複合関節を作る関節

肩関節は言わずと知れた複合関節です。解剖学的関節と機能的関節によって構成され、他の関節に比べて非常に複雑な作りになっています。理学療法を行うにあたっても、この複雑性が理学療法士の頭を抱える要因で、肩関節治療を難しくしています。

ですが、この複雑性も理由があって出来上がっているわけで、必要ないのであれば、他の関節と同様に短関節によって構成、つまり、肩甲上腕関節のみでいいはずです。ですが、肩関節はそうではありません。肩関節が複雑でなければいけない理由にはどのようなことがあるのかでしょうか?

肩関節を構成する5関節

肩関節 複合関節

肩関節は5つの関節によって構成されている複合関節で、肩甲上腕関節肩鎖関節胸鎖関節による解剖学的関節や肩甲胸郭関節第2肩関節による機能的関節があります。これら複数の関節が連動して動くことによって、肩関節の動きが行われています。

しかし、肩関節屈曲の動きはどのような関節によって行われているのかをみて見ると、これらの関節の動きだけではなく、体幹の動きも含まれています。体幹は肋骨・脊椎・胸骨によって構成されているので、それらによって構成される胸肋関節や肋横突関節など多くの関節も肩関節の動きに関わっていることになります。そのことを考えるとますます肩関節の治療のためには非常に多くの関節についての評価が必要だということを理解していただけるかと思います。

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肩関節の屈曲を考える

肩関節は多くの関節が連動して動くことで運動が可能になる関節です。肩関節に関わる機会がない方にとっては、あまり重要視するような点でもないのかも知れませんが、肩関節に関われば関わるほどこの連動性が重要に感じるようになります。

私も以前は、肩関節治療に重要なのは肩甲上腕関節に対するアプローチだと思っていました。しかし、今では肩甲上腕関節も重要なのですが、そこに至るまでに重要なチェックポイントを経過しないといけないと言う考え方を持っています。その点を、伝えていくためにも、今回は肩関節の運動の代表でもあります屈曲を見てみましょう。

肩関節の屈曲初期~

上肢が運動を始めると同時に、肩甲骨の外転と下方回旋が起こります。しかし、下方回旋は持続的に行われるわけではなく、すぐさま上方回旋に切り替わって運動が行われます。

この下方回旋の動きがなぜ起こるかというと、肩甲骨関節窩の向きを上腕骨長軸に合わせようとするための動きと考えられます。肩関節屈曲初期に下方回旋することによって、筋肉の収縮力を高め、骨頭の求心位を保つことができるので、上腕骨を動かすための環境が整うというメリットを得ることができます。

求心位を得た上腕骨はさらに挙上角度を増していきますが、同時に肩甲骨の上方回旋とが起こり、肩甲骨の外転もさらに強まります。これは肩甲骨の上方回旋を起こすことによって、関節窩の向きを上に向け、骨頭との求心位を保ったまま運動を行うために起こります。求心位を保っていることで、腱板筋も十分に筋力を発揮することができますし、それに伴ってアウターマッスルの活動量が上がります。

肩甲骨の外転が強まるのも、上方回旋と同様の理由です。屈曲は矢状面上の動きなので、肩甲骨を外転させて、関節窩の向きを前方に向けることで、骨頭の求心位を得ることができて、安定した肩挙上を行なっています。

このように屈曲初期では肩甲上腕関節の動きが中心なのですが、そのために肩甲骨の動きによって、肩甲骨関節窩と上腕骨頭との位置関係を最適な状態に調整し、十分に筋力を発揮させ、安定した挙上を可能にしているのです。

肩関節120°以降

肩関節の屈曲には肩甲上腕リズムというものがあります。肩甲上腕関節とともに肩甲骨の外転・上方回旋が追従するように動くというものです。肩関節は肩甲上腕関節だけで最大挙上することはできません。

肩甲上腕関節で大体90°100°くらいまでしかあげられないので、120°くらいまでには肩甲上腕関節の動きは終了してしまうのです。そのため、ここからの肩挙上で活躍してくれるのが肩甲骨の動きというわけです。

ここまで肩甲骨は外転・上方回旋を行ない、上腕骨頭との求心位を得ながらも、肩甲骨関節窩の向きを上方に向けてきました。しかし、肩甲上腕関節の動きが限界に達してからは、肩甲骨の動きだけで、さらに上方へと向けなければいけなくなります。そんな時に起こる動きが肩甲骨の後傾です。

肩甲骨を後傾させることによって、関節窩の向きはさらに上方を向くので、肩の挙上角度を増すことができます。さらに肩の最終挙上で肩甲骨を内転・下制させることで関節窩を十分に上方へと向けていきます。ここでは僧帽筋の中部・下部という大きな筋力によって安定性を高めます。

付け加えて最終挙上では体幹の動きも起こり、伸展・反対側への側屈、同側への回旋によって挙上を助けます。

このように、肩関節は非常に複雑な連動動作によって屈曲しているわけで、このことは肩関節治療で肩甲上腕関節だけに注目してもそれは肩関節の治療としては不十分ということを表しています。

上腕骨と肩甲骨の関係に注目

肩関節の運動は連動性が重要であることを説明しましたが、その中で注目していただきたいポイントが、関節窩の向きと上腕骨との関係です。

肩屈曲の解説文を見てもらうと、「関節窩の向きを上腕骨長軸に」という文を強調させています。このことは、肩関節治療で最大級に重要なことだと私は感じています。

肩関節の動きを実現するためには、関節窩の向きと上腕骨長軸との関係の良くすることが重要なのです。

例えば図のように、関節窩の向きに対して、上腕骨の長軸が完全にずれている状態であると、骨頭は脱臼方向へと運動することになり、関節として安定していない状態になります。すると腱板筋は過剰な収縮によって、肩甲上腕関節は筋性の安定性を獲得しようとします。これは関節としてあまり安定している状態とは言えませんし、この状態でアウターマッスルが働くことで、インピンジメントが起こる可能性も高まります。

しかし、もう一方の図のように関節窩の向きと上腕骨長軸があっていることで、関節は骨性の安定性を獲得でき、そこに腱板筋が骨頭の求心位を獲得するように働くことによって、強固な安定性を生み出すことができます。この状態であればアウターマッスルが筋力を発揮しやすい状態になりますし、インピンジメントが起こる心配はありません。

肩関節安定

鎖骨のおかげで肩甲骨が動く

肩関節複合体 アライメント

引用:筋骨格系のキネシオロジー

世間一般にも肩甲骨は広く知られるようになり、なんとなくではありますが、誰しもが肩甲骨は大切であることを感じています。しかし、理学療法士は肩甲骨がなぜ大切なのかをしっかりと理解する必要があり、それは「上腕骨頭に対して関節窩を向けなければいけない」からと解説しました。

肩甲骨が外転や内転、上方回旋や下方回旋と自由自在に動くことができる環境が整っているおかげで、上肢を安定させ、自由に動くことができるのです。では、肩甲骨が自由に動くための環境はどのように作られるのかを理解しているでしょうか。

肩甲骨は鎖骨に動かされている

肩甲骨の動きを考える上で鎖骨なしには語ることができません。どうしても肩甲骨のことに対して注目しがちで、鎖骨に対して注目している方は少ないと思いますが、鎖骨の動きはある意味で肩甲骨よりも注目すべきことだと私は感じています。

例えば肩甲骨の外転は、肩甲骨が胸郭上を外側に滑るように動くことですが、その動きをよく観察すると鎖骨が前方牽引することで肩甲骨を外側へ導いています。つまり肩甲骨外転は、肩甲骨の動きというよりは、鎖骨の動きが起こったことによって肩甲骨が外転させられたと考える方が自然なのです。その証拠に鎖骨を前方牽引しないように前から押さえると肩甲骨の外転はできなくなります。

これは外転だけではなく、肩甲骨の動き全てに関わることです。鎖骨を動かないように押さえると肩甲骨はどの方向へも動けなくなってしまうのです。そのため、肩関節の動きを行う前提として、肩甲骨の動く環境を整えることが必要ですが、さらにその前提として鎖骨の動く環境を整えなくてはいけないのです。

肩甲骨が鎖骨を動かすことも

肩甲骨は鎖骨によって動かされているということを解説しました。しかし、肩甲骨が鎖骨を動かすパターンもあります。それには鎖骨の形状が大きく関わっています。

肩甲骨と鎖骨の動きに関係がある理由について、鎖骨の形状に注目することが必要です。鎖骨は中枢から肩甲骨の肩峰に向かって伸びる骨ですが、一直線に伸びる一本の棒ではなく、いわゆるクランクシャフトのように折れ曲がっています。クランクシャフトには、直線的な運動を回転運動に変換するという役割があり、鎖骨においても回旋を起こすメカニズムとしてクランクシャフト構造が活躍しています。

肩関節は挙上運動を行うと、前鋸筋が収縮して肩鎖関節による肩甲骨の上方回旋が行われます。しかし、上方回旋の動きが大きくなりすぎると肩鎖関節が損傷してしまうため、円錐靱帯によって制限がかけられます。そして、円錐靱帯に伸張ストレスが加わると、円錐靱帯停止部(円錐靱帯結節)である鎖骨長軸よりも後方を引くかたちとなり、鎖骨の後方回旋を起こすことになります。上方回旋だけでは関節窩を上方へ向ける角度に限界があるのですが、後方回旋が行われることでより上方を向けられるようになります。

鎖骨クランク 肩甲骨

引用:筋骨格系のキネシオロジー(一部改変)

屈曲時の鎖骨の動き

では、肩関節の屈曲が行われるときには、どのように鎖骨の運動が行われているのでしょうか?

「肩関節の挙上を考える」の項では、肩甲上腕関節と肩甲骨の動きに着目して解説をしていますが、肩関節は複合関節として機能している事を解説してきたことで、他の骨や関節の動きも重要であることを知っていただけたと思います。そのため、ここでは鎖骨がどのように連動・連鎖して運動するのかを知る必要があります。鎖骨の動きを理解することで、肩関節の評価と治療の幅が広がります。

肩屈曲初期時の鎖骨の動き

「肩関節の挙上を考える」の項目で、肩甲骨は下方回旋の動きから始まっていることを解説しました。そのため、その動きに対して鎖骨はどのように連動するのかを考えことで答えは見えてきます。

肩甲骨の下方回旋はどのような動きで誘発されるかを考えると、伸展や結帯動作が思い浮かびます。伸展や結帯を行ない鎖骨の動きを観察・触診してみると、鎖骨は前方牽引されていることがわかります。

試しに鎖骨が前方牽引しないように反対の手で押さえて見てください。伸展や結帯ができなくなるはずです。このことから、屈曲初期では、鎖骨は前方牽引からスタートすることになります。

屈曲するときに鎖骨が前方牽引しないようにすると、挙げられないことはないですが、挙げずらくなるはずですので試してみてください。

下方回旋後の動き

下方回旋後は、肩甲骨は外転と上方回旋が始まるため、鎖骨がどの位置にあれば肩甲骨を誘導できるかを考えると良いです。

肩関節の屈曲では、肩甲骨の関節窩が前方を向くことで求心位を保った動きができます。そのため、肩甲骨はできる限り外側に引き出される外転ができていないといけません。そこで鎖骨がどうなると肩甲骨を外側に引き出すことができるかを考えます。

そうすると、鎖骨は前方牽引していることが理想であることがわかります。つまり、肩関節屈曲初期の下方回旋に伴う鎖骨の前方牽引を保ったまま、鎖骨の挙上が起こることで肩甲骨を外転した肩関節の屈曲が行えるのです。

鎖骨の前方牽引・後方回旋

屈曲角度が大きくなるにつれて、鎖骨の動きにも変化が起こってきます。屈曲初期には鎖骨の前方牽引からの挙上によって肩甲骨の外転や上方回旋を助けていました。しかし、さらに屈曲角度が大きくなるにつれ鎖骨の動きは変化します。

下のグラフは挙上角度とともに胸鎖関節と肩鎖関節の動きにどのような変化が起こるのかを表しています。このグラフをみると、どちらの動きも90°前後で動きの変化が起こっていることがわかります。

肩関節の屈曲と鎖骨の動き

今回注目するのは、胸鎖関節の挙上と胸鎖関節の後方回旋です。

まず胸鎖関節の挙上をみると初期から徐々に鎖骨の挙上が起こっていることがわかります。その挙上も90°を境になくなっていきます。しかし、ここで胸鎖関節の後方回旋のグラフをみてみると90°を境に動きが大きくなっていることがわかります。

このことから90°以降の鎖骨は後方回旋によって、肩甲骨の後傾を促し、肩甲骨関節窩を上方に向けるように動いていることがわかります。

まとめ

肩関節は肩甲上腕関節が取り上げられていることが多く、肩関節の治療にあまり携わっていない理学療法士も肩甲上腕関節に対する治療を主に行なっていることが多いです。しかし、肩関節は複合関節であり、その他の関節の重要性にも着目することが肩関節治療では大切になっています。

特に肩甲骨は、肩甲骨関節窩の向きを上腕骨頭に合うように調節していて、そのことによって腱板筋の働きや肩甲上腕関節の安定性を獲得することに役立っています。しかし、その肩甲骨も鎖骨によって動くことを可能にしているため、鎖骨に対する評価も行わなければいけないのです。

このように肩関節は複合関節によって、それぞれが連携して運動を行なっているため、評価や治療もそれぞれに対して目を向けなければいけないことがわかります。今後肩関節の治療を行う際には、より広い目線で見ていくことを心がけていくことが大切です。

今回は肩関節はどのように動くのか?肩関節をみるためにはどのような視点が大切なのかを解説しました。今後は評価・治療についても解説したいと思いますので、よろしくお願いします。

 

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