肩関節拘縮に対する烏口上腕靭帯切除
肩関節拘縮に対する烏口上腕靭帯切除
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今回は烏口上腕靭帯と肩関節拘縮の関係性についてわかる文献を紹介します。

『肩関節拘縮に対する烏口上腕靭帯切除の有効性の検討 -新鮮屍体標本における解剖学的検討-』
肩関節拘縮に対する烏口上腕靭帯切除

文献の内容

肩関節拘縮の原因には定説がなく、未だに不明の部分も多くあり、治療を行うにしても難渋してしまうケースもあります。
骨頭の上方滑りや関節包の癒着など多くの説があり、どれが原因なのかは様々な検討がされています。

しかし、尾崎らによって ”烏口上腕靭帯 ( CHL ) の瘢痕化や Rotator interval における瘢痕組織の介在が突発性肩関節拘縮の主病変である”との指摘がされたことなどもあり、烏口上腕靭帯と関節拘縮についての関係性が検討されています。
(尾崎 二郎:肩関節拘縮に対する手術経験と拘縮の病態について、烏口上腕靭帯とrotator intervalの機能と臨床について)

本文献の研究では、そういった背景をもとに、烏口上腕靭帯と関節拘縮の関係を解剖学的に検討した結果を報告した内容で、屈曲・外転・外旋制限がある拘縮肩で保存療法にて改善が見られなかった症例に対して、烏口上腕靭帯の切除とRotator Intervalの癒着剥離を行なったことで可動域制限の改善が得られたという報告がされています。

このことから肩関節外転・外旋の制限が存在する場合、烏口上腕靭帯に注目することは非常に有意義なことであるということが証明されました。
ですがなぜ烏口上腕靭帯が可動域の制限因子となるのでしょうか?

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烏口上腕靭帯の解剖

烏口上腕靭帯は烏口突起基部外側に起始しており、そこから前部線維と後部線維に分かれ、大結節と小結節に付着する靭帯です。

烏口上腕靭帯の前後線維

位置は棘上筋と肩甲下筋との間の腱板疎部(Rotator Interval )に位置しています。
烏口上腕靭帯は靭帯とされていますが、密性結合組織ではなく疎性結合組織の構造を呈しています。

そのため、肩関節が前方へ偏位するようなストレスに対して、緩衝作用として柔軟に受け止めることができ、安定性を高めることに貢献しています。

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烏口上腕靭帯の特徴

烏口上腕靭帯には柔軟な組織だからこそ起こる問題点があります。
それは癒着や肥厚など器質的変化が起こることで、この器質的変化によって関節運動に著明な制限を引き起こしてしまいます。

烏口上腕靭帯の肢位別緊張
この図は、烏口上腕靭帯の前方線維と後方線維・腱板疎部が、内旋・外旋・外転した時にどのように変化するのかを表したものです。
これによって、腱板疎部や烏口上腕靭帯はどのような関節運動の制限になり得るのかを知ることができます。

肩関節の内旋では、前後どちらの烏口上腕靭帯に短縮・弛緩が起こっていますが、外旋を行うことによって、烏口上腕靭帯は伸張され緊張状態にあることがわかります。
また、外転では烏口上腕靭帯の後方線維の伸張と腱板疎部の捻れが生じていることがわかります。

このことから、烏口上腕靭帯に瘢痕化が起こっていると、外旋制限が起こり、また後方線維が瘢痕化すると外転制限が起こるということです。
さらに、腱板疎部に癒着や瘢痕化が起こっている場合には、外旋や外転の制限が起こります。

まとめ

今回紹介した文献は、烏口上腕靭帯と肩関節可動域制限の関係について核心をつくものです。
多くの書籍で外旋制限は烏口上腕靭帯が関わるという記載がされていますが、この文献によってその理由が明確にわかります。

また、烏口上腕靭帯を2つの繊維があることを意識する必要性を考えさせられます。
走行が異なることで機能にも違いが出ることは当たり前のことですが、多くの方が烏口上腕靭帯を単体として捉えてしまっているのではないでしょうか。

今後は烏口上腕靭帯の評価を見直すことで、より詳細な問題因子の抽出が行うことができ、治療効果も高められる可能性があります。
この点を含めて今後の記事に反映させていきます。

是非一度、この文献を読んでみてください!

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