肩甲骨 鎖骨
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よくある肩の考え方と今後進む道

肩関節の治療として多くの場合には、肩甲上腕関節に対するものが多く、肩甲帯の動きとしても”〇〇関節に対する”というよりも”肩甲骨自体”の動きに着目して治療が行われることが多いと思います。
特に肩関節の治療に対してあまり経験のないセラピストであれば、肩甲上腕関節or肩甲骨の動きに着目するということがほとんどであり、上腕を動かしているか・肩甲骨を動かすかの2択になっていること多いですね。

そこで今回は肩関節の治療にもっと意味を持たせ、ステップアップのため「鎖骨」に着目したお話をしたいと思います。
今まで鎖骨を中心に肩関節を考えたことがありますか?おそらくパッとしないはずです。

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鎖骨って?

鎖骨という言葉は、一般の人でも知っている単語であり、場所としてもよく知られています。
人体の中でも正式に名称と場所の認識されている一番の骨が鎖骨かもしれませんね。
女性では、この鎖骨のシルエットが綺麗にでていると美しいと言われますし、結構身近な骨ですね。

そんな鎖骨ですが、理学療法分野では少し印象が薄くなりやすい傾向にあるように感じます。
というのも上腕骨と肩甲骨がメジャーな存在すぎ、肩関節の動きを見てもどちらかの骨に着目しやすい、また文献的にもどちらかの骨で軌跡を追ったりしているため、注目度が低くなりやすいのでしょう。

でも実際には、肩関節の理学療法では物凄く重要!
あまり比べないほうがいいのですが、肩甲骨よりも注目すべき骨かもしれません。
今回は鎖骨に対する知識を学び、再認識してほしいです。

鎖骨はどんな骨?

鎖骨は前方から見ると比較的一直線に伸びる骨のように見えますが、各方面から見るとその特徴的な形状を見ることができます。
鎖骨を上方から見ると、内側方向では前方凸で、外側方向では凹を呈し彎曲しています。

前方から見た鎖骨

上方から見た鎖骨

 

このように鎖骨はクランクシャフトのような形状をしており、その形状によって直線的な運動だけではなく、その力を回転力に変えることができるという優れた機能を有しています。
このことにより鎖骨は3次元的な動きを生み出すことが可能となり、それに伴って肩甲骨の広範囲の可動を可能としているのです。

ここまで鎖骨の可動が肩甲帯の可動性に大きく関わるといってきたが、それは肩甲骨と鎖骨が関節しているためであることを言っておきます。

船のようにある面上を滑るように動きますが、肩甲骨もそれと同じように体幹に沿って滑るように動くことが特徴です。つまり肩甲骨は直接体幹に接しているわけではなく、肩甲骨から鎖骨、鎖骨から胸骨に連結することで初めて体幹との連結することになるのです。

すこし回りくどい言い方になってしまいましたが、肩甲骨はその単体では可動することができず、体幹と繋がる鎖骨に導かれることで可動することができるということです。
つまり鎖骨が動かない限りは肩甲骨は動くことができなり、肩甲帯の一番重要なのは鎖骨といってみいい所以です。

鎖骨が形成する関節

ではここで肩甲骨が体幹と連結するまでの関節をみていくことにしましょう。
肩甲帯を形成している関節としては、肩甲骨と鎖骨で形成される肩鎖関節、そして鎖骨と胸骨で形成される胸鎖関節があります。
それぞれの関節について見て見ましょう。

胸鎖関節の特徴

胸鎖関節は鎖骨の内側端と胸骨の鎖骨関節面、そして第1肋軟骨によって構成されている関節です。
先ほども言いましたが、この関節は肩甲帯と上肢が唯一体幹と連結している部分であるため、上肢の基部として考えることができます。

胸鎖関節は鞍関節であり、特異的な関節面構造をしている関節です。しかし、その形状のおかげで上肢帯として必要となる大きな可動性に対応することができています。
鎖骨の内側端の関節面を見て見ると、縦径が凸・横径が凹を呈しており、胸骨の鎖骨関節面ではその逆で相反する形状を呈している。

この関節は非常に大きな可動を強いられ、また、強いストレスを受けるため、関節適合性を高める意味でも関節円板が存在している。

胸鎖関節の動き

胸鎖関節は鎖骨の動きを司るかなり重要な関節ということが、だんだんと見えてきました。
ここでは胸鎖関節ではどのように鎖骨を動かしているのかを見て見ましょう。

鎖骨の骨運動は自由度3で行われ、矢状面・前額面・水平面上で行われています。
動きで言えば、鎖骨の挙上・下制・前方牽引・後退・前方回旋・後方回旋です。

この動きに肩甲骨の動きを組み合わせると、挙上・下制では肩甲骨の上下での位置を変化させる動き、前方牽引・後退では肩甲骨の前後傾、前方回旋・後方回旋では上方回旋・後方回旋とリンクします。
このため、肩甲骨の動きには胸鎖関節により鎖骨の遠位を様々な方向に動かすことが伴っていることが理解できます。

胸鎖関節 動き

肩鎖関節の特徴

肩鎖関節は外側端と肩甲骨の肩峰とで構成されている関節です。

肩鎖関節でも、胸鎖関節と同様に関節円板がありますが、人によって様々な形状をしています。というのも肩鎖関節はよく平面関節として記載されていることが多いのですが、実際には凹凸の関係をした肩鎖関節も多く存在しており、個人差の大きい関節となっています。

そのため、その関節形状に合わせて関節円板も変化しているというわけです。ということは、滑り運動で動く肩鎖関節の人がいれば、転がりと滑りで動く肩鎖関節の人もいるということになりますね。

肩鎖関節の動き

肩鎖関節の動きは胸鎖関節に比べて小さいです。胸鎖関節では、鎖骨の遠位がかなりの広範囲動かすことができることを説明しましたが、これは肩甲骨を大まかに動かすことに特化していることを意味しています。
そして、肩鎖関節では動きが小さい代わりに精密な肩甲骨の位置変化を行うことを可能にしているのです。

肩鎖関節では、肩甲骨の上方回旋と下方回旋、水平面での回旋、矢状面での回旋という運動が行われており、これらの運動により胸鎖関節により大まかに動かされた肩甲骨を胸郭にうまく適合させるための微調整 (fine tune) を行うことを可能にしています。

肩鎖関節 動き

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鎖骨を考えて挙上が変わる!

もうここまで説明するばわかるかと思いますが、今まで肩甲骨の動きがどうなっているかを考え肩甲骨を三次元的に動かして評価していたのは、それを可能としている胸鎖関節と肩鎖関節のことを飛ばしてしまっていたということになります。

建築物の安定性を見るときに、土台を見ずに構造だけに注目するでしょうか?
何を考えるときにも土台というものは非常に重要な要素となりますが、それは肩甲骨の動きでも同じことです。
まずは胸鎖関節が運動を行えることができているのか?可動域制限はないか?肩挙上に伴って鎖骨はどのような動きを行なっているか?

このように肩甲骨の動きを考えるよりも重要なことがあって、それを考えることで結果的に肩甲骨の動きが見えてくるというものです。
肩甲骨モビライゼーションというものがありますが、それってどこが治療効果を受けているの?

もうわかりますよね?!是非とも肩鎖関節と胸鎖関節を考えて、結果的に肩甲骨に注目するようにしていただきたいです。
そうすれば肩関節の見え方が違ってきます。

まとめ

肩関節の治療に免疫のない理学療法士やセラピストは肩甲上腕関節という関節と肩甲骨という骨に注目し治療を行なっていくことが多いと思います。
また肩甲骨モビライゼーションを代表に肩甲骨個体に対してアプローチすることも少なくはありません。
でもよく考えて見てください。動きというものは骨単体で行われているわけではありません。

確かに肩甲骨は浮遊している骨なのである程度自由に動くことができるでしょうが、それでは自由すぎて安定という人体・関節のテーマからは大きく逸脱してしまうでしょう!
そこで、関節というものについて今一度注目していただきたいのです。

確かに肩甲骨の動きは大切ですが、それを可能にしているのは肩鎖関節と胸鎖関節なのです。
これらの関節が肩関節挙上にとなってどのように動く必要があるのか?

今一度関節というものを考えて見てください。
きっと良い評価と治療に繋がるはずです。

今回使用した文献

f私がいつもお世話になっている書籍です。
機能解剖を学ぶ書籍としては非常に優れています。

関節の構造、筋の作用がわかりやすく、関節を動かすためには、どのような筋群が強調して動作を行なっているのかが明確に記載されています。
イラストが豊富なので、よりわかりやすいのだと思います。

臨床上非常に重要なメカニズムも多数記載されており、評価や治療を理解するために役立つことが多いです。
勉強会やセミナーでも多くの先生方が、引用するなどその信頼性は高いです。

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