本当に三角筋後部線維は肩甲棘に付着する!?これが本当の解剖学だ!
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みなさんよく知っている三角筋。セラピストだけではなく、一般の方も知っているほどメジャーな筋肉ですよね。

学生時代に筋肉の起始・停止を覚える際にも、苦労することなく覚えられたのではないでしょうか?筋肉の中でも馴染みのある筋肉なので、今さら何?と思うかもしれませんが、皆さんが知っている起始・停止とは少し違うかも・・・と言ったらどうでしょうか?

今回は、三角筋後部線維の本当の付着部位についての内容です。ぜひ自分の知っている三角筋後部線維の情報と照らしあわせて読んでみてください。

みんなが知ってる三角筋の起始・停止

本題に入る前に、まずはみなさんが知っている三角筋後部線維の基本情報についておさらいしておきましょう。

筋名三角筋【Deltoid Muscle】
起始前部:鎖骨外側1/3
中部:肩峰
後部:肩甲棘
停止三角筋粗面
支配神経腋窩神経(C5、C6)
作用屈曲-伸展、内旋-外旋、外転、水平屈曲-水平伸展というほぼ全ての動きに関与する。

挙上動作の際には、棘上筋など回旋筋腱板と共同して働くことで、インピンジメントを起こさないように骨頭を回転させることができる。

これが一般的に紹介されている三角筋の情報です。挙上するための筋肉として有名ですが、水平屈曲や伸展の作用もあります。ただ内旋・外旋の作用があることについては意外に思うかもしれませんが、以前の記事で説明していますので、ぜひご覧ください。

この三角筋についての情報に違和感を感じる人はいないと思います。ですが、ある1点について疑問に思ったことがないでしょうか?

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三角筋への1つの疑問

私はセラピストとして評価・治療を行うなかで、三角筋についてただ1点の疑問を抱いていました。その疑問とは『触察で三角筋後部線維を肩甲棘までしっかり追えない』ということです。

私の記憶上で三角筋後部線維を三角筋粗面から肩甲棘まで追えたことがないのではないかと思います。「そんなことはない!」「お前が下手なだけだ!」という声が聞こえてきそうですが、私も三角筋粗面から肩甲骨外側縁を超えた辺りまではしっかりと筋腹を感じるのですが、肩甲棘に近づけば近づくほど筋腹感が消えていき、「ん〜、コレかな?」と、どうも曖昧な感じになってしまうのです。

みなさんも今一度、三角筋後部線維の触察をしてみてください。私が言いたいことがわかってもらえるのではないかと思います。いまいちハッキリせず、なんとなくコレだろう、と三角筋後部線維の存在感がどんどんなくなっていく感じがするのではないでしょうか。

この1つの疑問を抱えながら今まで評価・治療を行ってきましたが、遂に1つの文献の存在によって、この疑問が解消されることになりました。

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三角筋の真実!後部線維の起始付近は・・・。

三角筋後部線維に対する疑問は、ある文献をみたことで解消しました。その文献は棘下筋膜について調べている時に見ていたものですが、その中に三角筋後部線維との関係が記されていたのです。

その文献はJournal of Anatomyに掲載されている『Fascial bundles of the infraspinatus fascia: anatomy, function, and clinical considerations』です。

三角筋後部線維 棘下筋膜

オススメです!

この文献は棘下筋膜についてのものなのですが、皆さんにもぜひ読んでいただきたい文献です。解剖学の本にもあまり記されていない棘下筋膜について詳しく書かれていて、肩関節治療のヒントになりそうなことが多く書かれています。この文献の内容については、別途記事にして紹介したいとも考えています。

棘下筋膜を簡単に説明すると、棘下筋と小円筋の表面を覆っている筋膜のことです。解剖学の本でもほとんど載っていないので知らない人も多いと思いますが、今回の記事では非常に重要な存在となっています。

というのも、この文献いわく、三角筋後部線維は棘下筋膜に癒合している!と書かれているのです。つまり、三角筋後部線維は肩甲棘に直接付着するというよりは、棘下筋膜と癒合することによって間接的に肩甲棘に付着しているということを意味していて、つまりは本当の付着部位は棘下筋膜ということになるのです。

この文献に掲載されている画像を1枚引用したいと思います。

三角筋後部線維 棘下筋膜

引用(一部改変):Fascial bundles of the infraspinatus fascia: anatomy, function, and clinical considerations

少しこの画像について説明すると、まず棘下筋や小円筋が確認できませんが、それは棘下筋膜に包まれている状態だからです(D)。学生時代からよく見ていたのは、棘下筋膜が取り除かれた状態で、殆どの本には棘下筋膜は描かれていません。その棘下筋膜の一部に三角筋後部線維が覆いかぶさっていて、その三角筋後部線維を反転させているものになります(A)。

この画像で注目してほしい点は、三角筋後部線維の深層部分が棘下筋膜と結合しているということです。もしも従来通り肩甲棘に付着しているというのであれば、肩甲棘のところまで三角筋は反転されていることになりますが、この画像ではそうは見れず、肩甲棘よりも手前で棘下筋膜に結合しています。つまり、三角筋は単独として肩甲棘に付着しているわけではなく、棘下筋膜を介すことで肩甲曲に付着していることがよくわかる1枚です。

さらに注目する点がもう1箇所あって、緑円で囲ってあるところです。この画像は三角筋を反転させ、さらに上方に引っ張っています。そのため緑円にある筋膜が、三角筋に引っ張られてしまって、それがシワとして現れているのです。これは三角筋後部線維と棘下筋膜がかなり強力に結合していることを意味していることにもなるでしょう。

ここまでは深層に注目しましたが、今度は少しみづらいですが表層にも目を向けてみましょう。すると三角筋後部線維は肩甲棘に近づくにつれ、腱膜様に変わってきている様子が見てとれます。つまり表層でも深層よりは肩甲棘に近い部位にはなりますが、棘下筋膜と癒合しているということがわかります。

まとめと今後の発展

いかがだったでしょうか?今まで疑うことなく三角筋後部線維の起始と停止は、肩甲棘と三角筋粗面だと覚えていましたが、実際の様子をみて見るとイメージとは違うものだったのではないでしょうか。

三角筋後部線維は肩甲棘に付着するとほぼ全てのテキストに記されています。しかし、この文献では棘下筋膜と癒合している様子を明確に記してくれています。これは今までの常識を覆えす内容とも言えるかもしれません。

確かに、1つの文献からの情報ということで100%信じていいものではないかもしれません。個人差によるもので、筋腹が肩甲棘まで伸びれている例と棘下筋膜で癒合してしまっている例とで分かれるのかもしれません。

しかし、私が以前から疑問に思っていた『なぜ三角筋後部線維の触察は、肩甲棘に近づくにつれて触れている感覚が不鮮明になっていくのか?』を解決する答えとしては、今までで一番納得のいくものです。

もしも、個人差によるものであったとしても少なからず全ての人で棘下筋膜とは癒合しているのではないかと思ったりしています。この点は超音波診断装置を使って検証もできるので、おいおい確かめていきたいと思います。

いかがだったでしょうか?少しでも驚いてもらえるないだったでしょうか?今回のことで、今まで当たり前のように習ってきたことが本当に正しいということではない。どんなに当たり前なことでも、それを疑う価値があるということを改めて実感するような内容でもありました。

三角筋後部線維と棘下筋膜が癒合していることがそんなに大切なことかと言われると、かなり重要なことだと私は思っています。小円筋と棘下筋のスパズムとの関係や新しい治療法に繋がる情報だと思っています。今後この点を検討していくことが必要になりますが、かなり有益な情報であることは間違いないと思っています。

この新しい知識が今後どのような発展を遂げていくのか?遂げていかないのか?今はまだわかりませんが、何か面白いことがわかり次第、記事にしていきたいと思います。この知識が皆さんにとっても有益なものであると嬉しいです。

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