肩関節外旋の制限因子は?改善のためにまず知っておくこと
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こんな方におすすめ!
・外旋制限を改善させられない
・外旋制限の原因を知りたい
・外旋制限についての考え方を知りたい
外旋についての知識を深めて、治療に活かしたい方は必見です。

肩関節の治療を行なっている方であれば、肩関節の外旋可動域制限に苦労した経験があるのではないでしょうか。
では肩関節外旋制限に対して、どのような組織に対して治療を行なっているでしょう?

ただ漠然と外旋のROM-Exを行なっていても改善しません。
しっかりとどのような組織に問題があるのかを考慮して行く必要があります。

経験を積んだ理学療法士でも、難渋することがある可動域制限を改善させるためにはどうすればいいのか。
今回は肩関節外旋制限の制限因子についての考え方をテーマに解説していきます。

外旋時に制限となる組織とは?

肩関節外旋制限が患者さんの可動域や痛みの改善は非常に難しいことです。
ただ漠然と外旋の可動域訓練を繰り返しているだけでは改善しません

また、外旋の動作自体で強い痛みが起こってしまうことも多いです。
痛みがあるから可動域制限なのか、可動域制限があるから痛みがあるのか、またそれ以外の原因なのか。
そういったこと難しさから治療が迷走してしまうこともあると思います。

そもそも肩関節外旋の可動域制限の原因には、どのこうなものが関わっているでしょうか。
外旋に限ったことではありませんが、可動域制限の問題因子を考えるときは、関節運動を起こしたときに、伸張されるであろう組織を列挙することが重要です。

屈曲であれば腋窩部ですし、伸展であれば肩の上方から前方、内旋であれば後方と単純に考えることから始めます。
そのことから、その位置に存在する靭帯・関節包・筋肉を列挙していくことで、制限因子として考えられる組織がわかります。

そのため、外旋の制限因子になりえるのは、肩関節の前方に位置する組織であることがわかります。
肩関節前方にある組織では、三角筋前部線維・大胸筋・小胸筋(個人差あり)肩甲下筋・上腕二頭筋・烏口腕筋・上関節上腕靭帯・中関節上腕靭帯・烏口上腕靭帯・前上方関節包が挙げられます。

外旋制限には、これだけ多くの組織が関わっているのですが、この中でも、前上方で支持組織として活躍している組織群があります。それが、腱板疎部と言われている部位です。
外旋制限を改善するためには非常に重要になりますので、まず、腱板疎部について解説します。

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腱板疎部について

腱板疎部は、肩甲上腕関節の前上方に位置する組織によって構成されている組織群です。
その位置関係から、この部位でのトラブルによって外旋制限を起こすことが非常に多いのです。

腱板疎部とは

腱板疎部の位置は、棘上筋腱と肩甲下筋腱との間にある隙間のことをそう呼びます。なぜ、この部位に隙間があるかというと、前方にかかる緊張・圧迫を緩衝することができます。

どういうことかというと、肩関節の前方では、棘上筋や肩甲下筋の緊張によって、それぞれの筋肉の方向へと引っ張りの力が発生しています。
もしも、腱板疎部の位置が伸張性の低い関節包で構成されていると、棘上筋と肩甲下筋による引っ張りの力によって、前方部に締めつける力が発生してしまい、上腕骨頭を後方へと押し付ける作用が生まれてしまいます。

また、骨頭が前方方向へと動かなければいけない動きの場合にも、前方が締めつけれれている状態では余裕がないので、動くことができなくなります。
最悪の場合、損傷してしまうことでしょう。

そのため、腱板疎部があることで、棘上筋と肩甲下筋による双方向への引っ張り力を緩衝し、適度なゆとりを持たせることによって、骨頭の前方移動を柔軟に受け止めることで、動くことを可能にしているというわけです。

腱板疎部の構成

腱板疎部は棘上筋と肩甲下筋の間の隙間であると説明しましたが、この部位には何もないということではなく、腱板が疎かになっている部位です。

この隙間に位置しているのが、烏口上腕靭帯と上関節上腕靭帯です。
つまり、腱板疎部とは、棘上筋腱の前部線維・肩甲下筋の上部線維・烏口上腕靭帯・上関節上腕靭帯によって構成されている部位のことを指します。

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腱板疎部構成組織の特徴

肩関節外旋の制限因子になることが非常に多い腱板疎部です。実際、外旋制限に対して烏口上腕靭帯を切除すると改善するか?といった類の研究が昔からされています。
それだけ、腱板疎部を肩関節外旋制限の原因として考えることが非常に重要ということです。
では腱板疎部を構成する組織にはどのような特徴があるのでしょうか。

烏口上腕靭帯

烏口上腕靭帯は、棘上筋と肩甲下筋の間に位置し、腱板疎部を埋める組織で、烏口突起の基部から下面にかけて起こり、上腕骨大結節・小結節に付着します。

烏口上腕靭帯は、靭帯と表現されているものの、非常に柔軟性のある疎性結合組織なので、肩関節外旋では前方の安定性に柔軟に対応することが可能です。

しかし、神経・血管に富む組織でもあるので、炎症が起こると、強い痛みや瘢痕化による伸張性が低下し、可動域制限を引き起こします。
烏口上腕靭帯

前上方関節包

肩甲上腕関節の関節包は、関節窩を囲むように肩甲骨の頸部や関節唇の周縁から、上腕骨へと伸びています。上方部では、大結節や小結節に付着していて、この部分が前上方に当たります。

関節包は腱板筋によって囲まれていますが、前上方部では前面に肩甲下筋、上方に棘上筋によって囲まれています。
特に注目すべきは、上方にある棘上筋と関節包では比較的密着していて、その間を明瞭に分けることができないという点です。

関節包は、肩甲上腕関節の安定性を向上・補強する組織です。しかし、その構造は非常に薄い膜状の構造になっています。
前上方関節包

上関節上腕靭帯

関節包の周囲には筋肉に密着されている部分とそうではない部分があります。筋肉に密着している部分はそのまま筋肉によって補強されますが、そうではない部分では、関節包が肥厚することによって補強されます。
この肥厚して索状構造になっているものが、関節上腕靭帯で、部位によってそれぞれ、上・中・下の関節上腕靭帯と呼ばれています。

上関節上腕靭帯では肩甲骨の関節窩上縁から起こっていますが、すぐ後方から上腕二頭筋長頭腱が付着しています。
上関節上腕靭帯は上腕二頭筋長頭腱の前方・下方を並走して、上腕二頭筋長頭腱を支え安定させる役目も担っています。

同じ位置にある関節包や烏口上腕靭帯とは、肉眼で境界を見ることが困難なほど密接に関係していることも特徴的です。
上関節上腕靭帯は、中・下関節上腕靭帯のようなタイプⅠコラーゲンが豊富な人体ではなく、烏口上腕靭帯と同様に疎性結合組織に近い構造になっています。
SGHL 位置

肩甲下筋 上部線維

肩甲下筋は、ローテータカフの1つとして有名で、ローテータカフの中でも、最大の筋肉です。
肩甲骨の肋骨面全体に付着しており、上腕骨の小結節まで走行しています。

肩甲下筋は広い範囲で付着している筋肉のため、上部と下部とでは作用が異なることが考えられます。
そのなかでも腱板疎部では、肩甲下筋の上部線維が大きく関わっていると考えられています。

肩甲下筋 3d
肩甲下筋は、ローテーターカフの1つとして知られており、肩関節の前面に位置しています。肩甲骨の肩甲下窩から上腕骨の小結節に付着します。

肩甲下筋は肩甲骨に付着する筋肉の中でかなり大きく、棘上筋・小円筋・棘下筋を合わせた大きさとほぼ同じ大きさです。

そのため、肩甲下筋は縦長になっていることから、上部と下部では運動方向や伸張方向が変わります。
上部線維は1st内旋の主動作筋ですrので、逆の動作である外旋によって引き伸ばされます。

まとめ

今回の記事では、肩関節外旋の制限因子にはどのようなものがあるのか?ということの考え方や制限因子の特徴について触れました。
なかでも、腱板疎部は外旋制限において非常に重要な組織群であり、治療に難渋することが多いものになります。

今回の記事では、どの組織による影響なのかを評価する方法や効果的な治療法にまでは触れていませんが、今後さらに詳細な解剖や触診法とともに解説していきます。

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