
ローテータカフトいえば肩関節を思い浮かべるほど、「肩関節とは」における代表的なものと言えます。
今回はこのことについて非常に詳しく書かれている文献の紹介です。
皆川 洋至 et al:腱板を構成する筋の筋内腱–筋外腱移行形態について,肩関節 20巻1号,1996
説明するまでもないが、棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋の4筋の腱によって構成されているのが腱板です。
これらの腱板が、下方を除くそれぞれの方向から肩甲骨側から上腕骨頭へと包み込み、肩関節に運動性と支持性を与えているのである。
一般的に学校で勉強することはここまでなのではないかと思いますが、臨床としてはこれではあまりにも情報量が少なすぎます。
臨床的には、その他にどのような知識が必要になるかを考えると、腱板においてそれぞれの筋がどれだけの割合を占めているのか?といった点やそもそもそれぞれの筋からどのように腱を伸ばしてきているのかなど、詳細な解剖が必要だと思われます。
その点を詳しく調べることで新たな知識・新たな考え方が生まれるはずです。
例えば、棘上筋と棘下筋との大結節における位置関係を見てみると新たなことがわかってきます。
棘上筋と棘下筋はともに大結節への停止で位置関係としては、棘上筋の停止部の後方に棘下筋も停止しています。
もっと細かく言うと棘上筋はSuperior facet、棘下筋はInferior facetに停止します。
これが一般的に最初に勉強するであろう解剖的知識です。
でも本当に正しいこのなのでしょうか?
この画像をご覧ください。
これは棘上筋と棘下筋の実際の位置関係を示しているものになるのですが、前方の棘上筋に向かって、後方の棘下筋が覆いかぶさるように位置していることがわかります。
さらにこちらの画像を見ると特徴がよく見えます。
これは、筋線維を取り除いた棘上筋、つまり棘上筋の腱のみを取り除いたものになります。
右側に固まっているのが腱板、左側に伸びていっているのが筋内腱です。
これを見ると一目でわかるのが、筋内腱が前方側に集中していて後方部分ではあまり見かけることができません。
腱板の前後径の前1/3しか棘上筋腱が発達しておらず、後方部分はどうなっているのか?と疑問になります。
実は後方部分はほぼ棘下筋によって覆われている部分なのです。
このことを考えると腱板断裂は本当に棘上筋に起こることがほとんどと言えるのか?
なぜ棘下筋が硬くなりやすいのであろうか?といった疑問を解消するためのきっかけになりそうです。
このことは、腱板を構成する筋の筋内腱–筋外腱移行形態について という文献に詳しく書いており、それぞれの腱板についての非常に重要な知識を学ぶことができます。
ぜひ読んでみてください!