小円筋 ガイドブック ポスター
スポンサーリンク

小円筋の解剖学

小円筋 ガイドブック ポスター

 

小円筋はローテーターカフの中でも一番小さい筋肉でありますが、しばしば可動域制限の原因となってしまう筋肉で、拘縮改善の理学療法において非常に重要視しなければいけない筋肉です。

小円筋の走行は、肩甲骨の外側縁近位2/3から上腕骨の大結節下関節面に停止します。

しかし、厳密には上部筋束と下部筋束に分けることができ、上部筋束は肩甲骨外側縁の下方から上腕骨の大結節(Inferior facet)の上方に停止することになり、下部筋束はその逆の走行となることを覚えておきましょう。

小円筋の位置としては、棘下筋の下方に位置し、走行がほぼ一致している。しかし、棘下筋と小円筋では作用が違っており、その点は注意しなければならない。

 

小円筋のデータ

起始肩甲骨の外側縁近位2/3
停止上腕骨の大結節下関節面 (Inferior facet)
支配神経腋窩神経
髄節C5、C6
栄養血管後上腕回旋動脈、肩甲回旋動脈
作用肩関節の外旋、内転
横断面積3.2 cm2
筋長10.8 cm

 

 

大結節といっても・・・

大結節はローテーターカフの停止部として広く知られ、インピンジメント症候群でもこの部位と肩峰下が衝突することによって起こることは広く知られています。

しかし、大結節は肩関節の骨部位の中でも比較的大きい隆起部位ですので、一口に大結節といっても、どこのことを言っているのかを知ることは難しくなっています。

まぁ、別に一緒でいいと思ってしまいがちではあるのですが、その停止する位置によって動作の作用が大きく異なってしまうことや、制限因子を探すことに役立っていることを考えると、詳細に大結節を知る必要性は大いにあるのです。

 

そんな大結節ですが、その部位は3つに分かれています。

下の図を見てもらったほうが理解しやすいかと思います。

大結節 形態 関節面

この関節面の、上面には棘上筋、中面には棘下筋、下面には小円筋が停止するといわれています。

こう見ると小円筋が停止する下面というのはほぼ床と垂直方向に面しているのがわかりますね。

棘下筋と小円筋の起始部・走行は同じような場所に位置しているから、同じような作用かと思ってしまいますが、これをみると違うのかも?と思えますね。

 

スポンサーリンク

小円筋の作用や特徴

小円筋はほかの筋肉と比べて、小さく短い筋肉です。いっけん目立たないようないでたちで、治療場面においても忘れられやすいところなのかもしれません。

しかし、侮るなかれ小円筋は肩関節の機能部位としてなくてはならない存在なのです。

そんな小円筋の作用と特徴を見ていきましょう。

 

小円筋の作用

 

では、小円筋はどのような作用を持っていて、肩関節にどのようなことを行っているのでしょうか?

一番ベターなところからいうと「肩関節の外旋」させる力があるというところです。

小円筋 外旋 

起始と停止の関係を見て考えればわかることですが、小円筋は後方から上腕骨の側面につきますので、収縮すれば上腕骨に回旋を与えながら、後ろに引っ張ろうとする現象が起こります。これが外旋ですね。

 

小円筋は外転のほかにも弱い作用ながらも内転筋をさせることができます。

小さいとは言いながらも、正中位から内転方向へ力を入れることが弱いということで、外転する際の制限因子としてとらえるのであれば、かなり厄介な存在となります。

小円筋 内転

小円筋は停止部で下面につくのですが、ほぼ側方の解剖頚までその線維を送っているため、外転すればするほどその位置関係が遠くなり、強い制限因子をかけるのです。

 

というところまでが、理学療法士の中で一般的に知られている知識でしょう。

しかし、小円筋はほかにも作用を持っていますので紹介したいのですが、まずは特徴をみてからにします。

 

小円筋の特徴

筋肉というのは基本的には、骨から骨へとつながっているのが通常といえるでしょう。

しかし、小円筋はすこし違った特徴を持っています。

それは、関節包へも停止するということです。

 

小円筋の浅いところにある線維というのは、先ほどからいっている大結節のinferior facetや外科頚に回り込むように停止しているとされています。しかし、その深いところに位置する筋肉というのは、そのまま関節包へと停止するのです。

このことによって関節包の強化に働くことが着るようになり、動作時・安静時の安定性をより向上させることが可能となっているわけです。

また、この関節包に付着する小円筋にはちょっと特殊な作用があります。

 

 

スポンサーリンク

小円筋のちょっと特殊な作用

小円筋は肩関節のローテーターカフの1つの筋肉として知られていますが、上記のような外旋の筋肉というイメージしか持たれないことが多い筋肉です。

しかし、特徴として関節包に付着するという特殊な構造があることがわかっています。

では、関節包に付着することに何の意味があるのかを見ていきましょう。

 

屈曲時の小円筋の貢献

肩関節を動かすと関節包や筋肉により安定性を高める部分が出てくるようになります。

例えば肩関節の挙上であれば、関節包の下方や後下方が伸長されることでハンモック様の状態を作り上げて、下方への上腕骨頭脱臼を防いでいます。

そして、小円筋は収縮によって付着している部分の関節包を牽引し、より関節包の緊張を高める役割を担っているわけです。

 

小円筋 外旋 関節包

 

 

外旋時の小円筋の貢献

では肩関節外旋時にもどのような作用があるのかも考えてみましょう。

肩関節の外旋時の運動を見てみると、さきほどの屈曲の場合と違って、外旋することによって関節包は弛緩して”たるみ”が生じてしまいます。

この状態で外旋を続けることによって、関節包が関節に挟み込まれて痛みが生じてしまうことも考えられるでしょう。

そこで、小円筋によってこの問題をかいけつしていくのです。

なにをしているかというと、小円筋の関節包付着部を先ほどと同じように、小円筋の収縮をもって関節包のたるみの部分に牽引をかけて挟み込みを防いでいるのです。

小円筋 外旋時の挟み込み

このように小円筋は、外旋に作用する筋肉ということ以外にも、関節包に対しても影響を及ぼすことができるすごい筋肉なのです。

小円筋が存在していることで、円滑な問題のない運動を可能にしているのですね。

 

小円筋の触診

ここまでは小円筋の特徴や作用を紹介してきて、小円筋に関してある程度詳しくなったと思います。

しかし、私たち治療者は知っていても、触ることができないといけないわけで・・・。

そこでここでは小円筋を触れるためのポイントを紹介してたいと思います。

 

肩甲骨下角&外側縁を触れる

まず小円筋を触れる前にそこまでたどり着くためのランドマークをとっていきたいと思います。

その第一歩は肩甲骨の触診!

小円筋の起始は肩甲骨にありますから、肩甲骨から小円筋を追っていくためにも、肩甲骨の触診は重要です。

肩甲骨 触診

肩甲骨の触診を行っていく際、一番わかりやすいところから触っていくのが確実です。

もちろん慣れてくれば一瞬で触ることができますが、慣れるまでは基本に忠実に、わかりやすいルートで触っていく、というのがいいでしょう。

 

で、一番わかりやすいのが、図にある①肩甲棘でしょう。

肩甲棘の触り方はいたってシンプルです。

体の背側から肩甲骨があるであろうところに手掌を当てます。で、少し圧迫をしながら触っていると他よりも確実に盛り上がっている部分があるはずです。

それが肩甲棘です。

 

で、肩甲棘を見つけたら肩甲棘の下縁を触ってそのまま内側(脊柱方向)に指で触診しながら進んでいきます。

そうすると突然骨っぽさがなくなったり、段差を感じることができるはずです。

そこが肩甲棘三角の部分であり、肩甲骨の内側縁となります。

 

内側縁を見つけたら、そこから②のように淵沿いに下方へと触診を進めていきます。

すると内側縁がなくなって。段差が出現します。

ここが③下角の場所となります。

人によっては下角が触りにくいこともあるので、そんなときは結帯動作をさせてください。

そうすることで、肩甲骨の下方回旋と前傾が組み合わされて、下角が浮き出てくるはずです。

よく肩甲骨を浮かせて「羽が生えた!」と遊びませんでしたか?

 

この下角は小円筋を探るときに便利なランドマークの1つです。

で、ここから2つ目のランドマークである外側縁を触っていくのですが、内側縁と同じように淵に沿って触っていきます。

ただ内側縁と違って外側縁は比較的大きい筋肉が集まっている部位でもありますので、上に行けば行くほど触りにくくなります。

上達すれば肩甲骨関節下結節を触れることができますので、練習してください。

 

肩甲骨の付着部を触れる

2つのランドマークが取れたところで次は小円筋が付着するであろう部分に目安をつけていきます。

慣れてくれば”ココ!”と触れるようになりますが、最初のうちは大体この変なのかな?というポイントをつけていくことが肝心です。

で、そのポイントですが、肩甲骨下角から2~3横指分上方のところです。

 

小円筋 肩甲骨 ランドマーク

 

後々になればなるほどとわかることになるかと思いますが、この場所をパッと見つけられるようにすると、小円筋を見つける速さもダントツに早くなります。

では次に小円筋の停止部の大結節の触診に行ってみましょう。

 

大結節後下面を触れる

ここでは小円筋の停止部である大結節の触診に行きたいと思います。

大結節については上記でも説明していますが、3パートに分かれているため、それぞれを触り分けることが必要になります。

それぞれのパートを触るとこができれば棘上筋や棘下筋の停止部を触れることになりますので、頑張って触れるようにしましょう。

 

大結節 触診

 

では、まず結節間溝を触っていきます。

結節間溝は小結節と大結節の間にある溝のことで、ここには上腕二頭筋長頭腱が走行しています。

 

触るためには、烏口突起先端から2横指外側に指を縦に置きます。

その状態から、内外旋を行うことで山を越えて、谷になって、山を登ってというサイクルで指に感じることができるはずです。

その谷になっている部分というのが、結節間溝というわけ。

他にも上腕骨の内側上顆と外側上顆を結んだ線の中央点上に結節間溝がほぼ位置しているということを覚えておいてもいいかもしれません。

 

で、結節間溝を見つけたら、結節間溝の外側方の縁に沿って情報へと進んでいきます。

すると急に折れ曲がって斜めの斜面へと変化していきます。

これが上関節面で、棘上筋の停止部といわれている部位です。

 

さらに縁沿いに進んでいきましょう。

するとまた急に折れ曲がり、緩やかな下り斜面へと変化していくのですが、これが中関節面と呼ばれる棘下筋の付着部です。

そして、急激に下方へと変化するところからが小円筋の停止部である下関節面となります。

 

そして、ここでとるランドマークが中関節面から後下関節面へと変化する角ばったところ。

そしてそのポイントから3横指下方へと下がったところです。

大結節 側方 ランドマーク側方からの大結節ランドマーク位置

 

大結節 後方 ランドマーク後方からの大結節ランドマーク位置

 

ランドマークを意識する

ランドマークが取れたらいよいよ全体のランドマークを統合して小円筋を補足していきます。

まずは肩甲骨のランドマークを中心として、大結節の2点に向かって線を引いていきます。

そうすると三角形のスペースができますよね。

このスペースこそが小円筋のある位置なのです。

 

つまりは上方に位置している線は、小円筋の上縁にあたる部分で、下線に位置しているのが小円筋の下縁というわけです。

このようにランドマークをパパっととることで、小円筋を簡単に触診することができます。

小円筋は案外小さな筋肉ですが、結構スパズムの起こりやすい筋肉でもあるので、比較的すぐにこれかなというのがわかるかと思います。

親指くらいの太さでコロコロとするような筋肉ですので、是非トライしてみてください。

 

ランドマークからの小円筋触診

 

 

参考にした書籍

肩関節の入門編としても、経験を積んでいる状態でも、学ぶことが盛りだくさん記載されているので、非常に勉強になります。肩関節の拘縮について詳しく書かれている本です。

治療法についても、詳しく写真でわかりやすく解説されていますので、読んでみてください。

 

実際の筋肉を用いて、その詳細が記載されている解剖書であり、触診の本です。

イラストとは違い、真実の解剖学が見られるので、「あれ、イラストではこうだったけど、実際は・・・」ということが、もりだくさん。

絶対持っておきたい書籍ですね。

 

【送料無料】 運動療法のための機能解剖学的触診技術 上肢 改訂第2版 / 林典雄 【全集・双書】

上肢の触診について詳しくわかりやすく記載されています。

筋肉だけでなく、骨・靱帯のことについても書かれているので、絶対持っておきたい書籍ですね。

触診の知識だけでなく、それぞれの部位における知識も豊富に書かれているので、多くのことを学べます。

 

 

スポンサーリンク

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事